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九条の大罪 第70審 あらすじ ネタバレ注意
おそらく毎朝新聞の編集部の机で向かいあい、市田の取材協力を受け終える薬師前。
市田は犯罪歴があり社会復帰を目指す人の連載のための取材協力を、薬師前に依頼している。
市田はシリーズ連載の「犯罪者の社会復帰」の記事を書いていたらしく、薬師前はそれを烏丸に勧められを愛読していたという。
一方市田も烏丸から薬師前を紹介してもらい、烏丸に感謝しているという。
烏丸のことを変わっているという薬師前。過去に烏丸の担当した保護観察中の執行猶予者(曽我部だろうか)に薬師前が会いにいった際、余った時間で食事とゲームセンターに行ったようだ。
ゲームセンターでぬいぐるみのコアラを見てコアラ愛とコアラ収集を語る薬師前だが、烏丸は捨てる日が想像できるものはいらないという。
薬師前が捨てない、というのを聞いて代わりにクレーンゲームでコアラを一撃でゲットする烏丸。
興奮する薬師前に、烏丸は下手だったのを馬鹿にされたのでYoutubeで研究した結果うまくなったという。
市田も意外な一面を知りいいなあ、と言う。
連載を始めたきっかけを市田に聞く薬師前。
烏丸の父である烏丸克伸が被害者となる無差別殺人が起こった際、写真週刊誌の記者だった市田は、ほかの被害者を守った商社のエリート社員の英雄譚として記事を出し、その直後編集長の命令で、烏丸克伸の周辺取材をし、援助交際の記事を上げた。
雑誌は売れたが、遺族である烏丸と烏丸の母を含めた誹謗中傷の対象となったため、市田は週刊誌を辞めた。記事を書いたことを後悔しているという。
後悔の念から葬儀場の従業員のふりをして被害者家族である烏丸家の葬式で取材を試みたが、泣き崩れる母を支え、線香の火を絶やさないよう朝まで寝ずに見守る烏丸の姿がそこにはあった。
九条と烏丸。事件と週刊誌の報道後、母は笑わなくなり、人を避けるようになったという。
その苦しんでいた母と九条の目が似ている、と言い、九条先生は大丈夫ですかと聞く烏丸。
九条は過去と現在に固執したら未来を失うのですっかり変わった、という。
九条の大罪 第70審 感想
裁判については特に書かれなかったが、その後の烏丸のことが第3者である市田経由で、また烏丸の性格そのものについても薬師前から語られた。
市田についてはなんとなくそんな人がいた記憶はあるが、誰かと言われるとあまり印象に残らないキャラだったが、もともと烏丸の知り合いとして描かれており、毎朝新聞の記者である、という立場が20審で描かれていた。
このように割と深い話をするのは初めて、比較的落ち着いた印象を持ち表情の変化が少ない市田であるが、烏丸という人間には興味、好意を持っているようにも見える。
烏丸の人間性に話を戻すと、賢く強く器用だが、人より周りが見えるうえに孤独で、物事の判断は適格だが感情的ではなく実質的であり、これまでの烏丸のイメージを覆すような部分は特になかった。
馬鹿にされてYoutubeでクレーンゲームを研究して異様にうまくなる、というのが彼の賢さや器用さを表しているが、逆にこんな風に困難があっても解決してしまうスーパーマンである烏丸ゆえに、ほとんどの人が守るべき弱者となっており、本来は烏丸自身が泣き叫びたいほどの衝動に駆られているはずが、それを表に出したり、誰かに頼ったりすることがほぼないまま大人になってしまっているようだ。
不慮の事故と誹謗中傷があり家庭環境も一変した烏丸がその後東大法学部首席になってしまう、というのも彼の異常な能力の高さを示している。
一方九条はそんな烏丸が支えていた母に似た目をしているようだ。大雑把に言うと深く傷ついて、周囲とのかかわりを絶った人、というのが烏丸母である。
九条も離婚し、娘と離れ、父を失い、兄とは疎遠であり、一般的には孤独と言っていいと思う。しかし九条自身の周りには仕事のつながりとはいえ過去には烏丸が居たり、今は壬生が居たり、望まぬ関係かもしれないが京極や輩たちからの依頼もある。
おそらくはほとんど外出などをしなくなったであろう烏丸の母とは一見すると九条は違うわけで、屋上に住み、路上で明太子を食べる変人ではあっても、外をランニングしたり墓参りに行ったりとアクティブである。
九条は過去と現在に固執したら未来を見失う、という。
過去に固執したら未来を見失う、というのが普通のコメントに感じるが、現在、という言葉が含まれているのが意味深に感じた。
九条の中で「現在」は「過去の延長」で、固執すべきものではない、ととらえているならばちょっと「現在」に対する捉え方としては悲観的であるように思える。
ちょっとした言い方の違いだが「過去」に固執したら「未来」を失うので「現在」頑張っている、とかであれば割かしポジティブな印象である。
もちろん現在の状況に至るのは過去の行いの必然であり、サッカーを練習していない人が突然プロになるようなことは無いのと同じで、現在と過去にはつながりはある。
一方で、現在は未来との接合点でもあるはずで、どちらに近いこともないはずだが、過去と現在をセットでとらえるあたりや、烏丸の心配からも、九条の家族関係や離婚などについても複雑な内容だったり一般に辛い内容だったりすると想像できる。
九条の大罪 第71審以降の展開は?
思ったより長い話の一部なのかもしれない。
まだ解決に至らない部分が多すぎる。
依然短期的には京極竜也は大ピンチだし、その先には犬飼もどう転んでも無事でいられなさそうな状況が並行して進んでいることを忘れるくらい、唐突な市田の登場であった。
至高の検事の登場機会はまだ先のようである。
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