九条の大罪 第11審 家族の距離③ 感想

真鍋昌平 ビッグコミック 九条の大罪 漫画
これまでの登場人物
  • 九条 間人(くじょう たいざ) 弁護士
  • 鞍馬蔵人(くらま くろうど)検事。九条の実兄
  • 烏丸 真司(からすま しんじ)九条の事務所のイソベン(=居候弁護士。弁護士事務所に雇われている弁護士のこと)
  • 壬生 憲剛(みぶ けんご)自動車整備会社社長・コワモテ
  • 流木 信輝(ながらき のぶてる)白髪の高齢の弁護士 九条の父と面識あり
  • 山城 祐蔵(やましろ ゆうぞう) 弁護士 九条の父と面識あり
  • 菅原 (すがわら) 介護施設輝幸代表 輩
  • 家守華恵(いえもり はなえ) コンサルティング会社経営
  • 金本 卓(かねもと すぐる)大柄な不良 力士を目指していたらしい 父がヤクザ
  • ミヨコ 金本の同居人
  • 曽我部 聡太(そがべ そうた) 配達員 壬生の後輩の下の人間らしい
  • 薬師前 仁美(やくしまえ ひとみ) ソーシャルワークつぼみ代表の女性。烏丸の知り合い

九条の大罪 第11審 あらすじ ネタバレ注意

父の墓参り後なのか、あるいはこういった服しかし服がないのかは分からないが短パン、ジャージ、キャップで金本のドーベルマンを連れた九条。

「曽我部の父が弁護士費用を払いに来ている」と電話で烏丸が告げる。どうしても休日にしか来られないと、薬師前にたのまれ休日に出勤をしたようだ。

吃りながら息子を助けてくれたお礼と無利息の弁護士費用に感謝を伝える曽我部父。

お土産はおでんのたまご25個。コンビニを4件回ったようだ

金本の父が曽我部の父の家に来て謝罪をしたらしい。今更の謝罪に曽我部父は声を荒げ怒るも、偉そうだった金本の父も随分しょんぼりしていたようだ


キャバクラ的な店で山城がワインを飲む。九条は運動着のまま呼び出されたようだ。

山城の隣にいた、介護施設輝幸(きこう)の代表菅原がどうもとあいさつをする。鋭いまなざしだ。

菅原と別れ、二件目のラーメン屋で山城は菅原は詐欺と強盗が本業と告げる。

面倒を見たのに急に割り勘という輩がいる、金払いの悪い輩は害しかないから量刑を重くしてバンバン刑務所送りにしたらいいという山城。

「顧客ファーストはやめたのですか」と九条に聞かれ

弁護士とはなにかと逆に問い返す山城

法律の勉強は富士山のように綺麗な思想。
だが実際は富士の麓は自殺の名所青木ケ原。暗い暗い森の中

九条の大罪 第10審 家族の距離③  ビックコミックスピリッツ



と九条。

結局その後、酔っぱらいながらも九条に「君のことを息子だと思ってる」と告げる山城。

九条の事務所。

家守華恵(いえもりはなえ)というコンサルティング会社経営の中年の女が父の遺産を取り返してほしいと相談に来る。

四億円を社団法人に寄贈するとの父の遺書があったが書くわけがないと

施設暮らしで認知症の父を騙したのは菅原と山城祐蔵です。
と言いきる。

九条の大罪 第11審感想

今回も話が展開し、わくわくする内容だ。

九条の大罪 第11審感想

意外な家族が登場した。

曽我部親子と金本親子である。

曽我部も金本も弱者の一分以降出てこないのかと思ったが、この周りの人間が早くも再登場をしている。

曽我部父の挙動はもともと曽我部がいじめをうける原因の一つで金本親子にいじめられていた過去がある。

父は話し方や挙動が曽我部よりも更に大変そうである。

おでんのたまごは美味しいが当然全員がたまごが好きなわけでは無い。大人ならわかるはずだが、曽我部父は客観性を欠いている。これは赤ちゃんなどにみられる「他人と自分との差が分かっていない」ような状態ではないだろうか。

未就学児(2~6,7歳)は自己中心性をもつ。マイヤーズ心理学

によると、

「兄弟いる?」

「いるよ」

「なんて言う子?」

「ジム」

「ジムには兄弟いる?」

「いないよ」

マイヤーズ心理学 Dマイヤーズ著 西村書店 より

というやり取りが起こるのが未就学児にある自己中心性の特徴で、これは単純に自分勝手というだけでなく、「相手の立場からモノを見ることができない」という特徴である。

自分の兄弟がジムであると認識しているので、当然ジムの兄弟は自分なわけで、これは当たり前のことだと思えるのは、成長をしているからである。

少なくとも自分がおいしいと思っているたまごをたくさん買ってきたのだからこれは良いことであるという自分の価値観であるが、たまごが好きかわからない相手のこと、たまごを買い占められて困ってしまうコンビニのことは当然考えられない。

こんな調子で周りとなじめず悪気なくのけ者にされてきたことが想像できるシーンだった。

しかし、そんな曽我部父も自分や息子がひどい仕打ちを受けたことは忘れられないようで、恐ろしい金本父にも毅然と怒鳴り返すシーンはちょっと心打たれるものがある。

山城弁護士と九条が話の中心になるか

もう一つ、親子に似た関係として山城が九条を子供だと思っていると告げたシーンがあった。

今回は家族ということで、親子や兄弟関係がたくさん描かれている。

先の曽我部親子や金本親子というのは子供の仕打ちを嘆いたり、子供の過ちと悲惨な最期でしゅんとしたり、ここだけを切り取ると子供を親が心配し可愛いと思う普通の親子という感じだ。

山城は言い方からすると家族や子供は居なさそうである。ホテル暮らしと言っていたので過去に結婚していたり子供がいたりしたかもしれないが、少なくとも山城を待っている家庭があるということは想像できない。

懐かしさと寂しさがあってか酔いつぶれてまで「はしご」をする山城に対し、九条も嫌がっている風ではない。

山城の価値観はお金が第一だ。輩(やから)的な連中を下に見ているところはあるものの、お金になれば何でもいいという姿勢はある意味潔い。

依頼人の貴賤は問わないという九条の価値観がどこで生まれたかは分からないが、依頼人を選ばない九条は不快な人間ではない、それどころかものすごくかわいがっている様子だ。

どうやらそんな二人と菅原を含めた争いが生じる気配が濃厚になってきた。

九条の大罪 第12審以降は?

突如登場した家守の断定的な言葉は山城が悪事を働いているという確信の元、放たれている。山城がどこまで、何をしているかは分からないが、少なくとも何事もなく終わるとは考えづらく何らかの対決・対立となりそうである。

また、「家族」というものの形についてどのように描かれるのかが楽しみだ。



 

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