新刊のコミックス2巻、5/28発売です。
九条の大罪 第22審 あらすじ ネタバレ注意
弟の恵介に電話する華恵。父から相続した土地を更地にしたようだ。
会計士の恵介は九条を分析し、短期間で遺産の総額4億円を相場の4千万に対し格安の2千万で済ませたことをすごいといっている。
菅原の介護施設、輝幸儀は潰れたようだ。
電話をする恵介に促すように佐恵子が窓から小銭入れを投げ落とす。
生前贈与で受け取った2500万円も遺産分割に反映して欲しいという恵介。
好きにしなさいよ、という華恵。
過去を語る恵介。両親は不仲で結局母と恵介は家を出たようだ。
当時「台所が落ち着く」と言って勉強していた華恵について語る。
電話を終えた華恵が当時を思い出す。台所で勉強していた理由は父が帰ってくるか不安で帰ってくるかを確認していたから、と。
路上で九条に領収書をもらう華恵。
手短に話を終え、その場を離れる華恵に、
本当はお父様を最後まで看病できなかったことを後悔しているのでは
お金ではなく、気持ちを押さえる方法が他にないのでは?
と問う九条。
裁判に備え家守の身辺調査をしていたが、献身的な介護をしていたと皆口を揃えていっていたと。
九条の父を亡くした時、流木がいっていた言葉を繰り返す。
年寄りは常に不安で、身体も衰え、安心した場所も奪われ心細い。けれどもどんなに辛くても子供に迷惑かけたくないのが親だ、という言葉。
家守父が言葉にならない感謝を華恵にしていたであろうこと。
家守さんは頑張りました。
と伝える九条に泣き崩れる華恵。
華恵の肩に手を掛け、九条の父も一人で寂しくしていた自分のわがままを受け入れ、母の文句を一言も言わなかった父。そんな父に九条はなにも返せぬままだったことをつたえる。
壬生と部下の輩。ブラックサンダーの飼い手が見つかったと告げる壬生に、
私が飼い主になって良いかという九条。
つづく。
九条の大罪 第22審 感想
この話で家族の距離編はおしまいである。
九条の言葉により救われる家守華恵。
九条先生が家守華恵の誰にも語らなかった内心を言語化するということでこの家族の距離の最終回は幕を閉じた。
独りのシーンで父を思い返す時、「お父さん」と語っていた華恵はおそらく2人兄弟の長女と思われる。
父への愛や家族をつなぎとめるべく、幼いながらに身内に心配をかけぬよう姉であり長女の立場を貫いていたことが明らかなった。
九条の大罪を読んでいる人の年齢層というものは平均何歳くらいなのかはよくわからないが、思うに親や祖父母が存命であるような年代層なのではないかと思っている。
家族の距離、ということについてあくまで主語は読者や読者に近い年齢の九条サイドから書かれるものとばかり思っていたが、最終話で描かれたのは華恵から見た父、九条から見た父、についてもあるもの、やはり老いて弱った父や母から見た息子、娘に対する気持ちというものが印象的だ。
特に家守の父は認知症であり、感謝の気持ちを伝えようにも表現が出来ず、家守華恵は幼いころには家庭の不安を、父の介護をするに至っても本心の確認の使用もないという不安の中、九条が家守華恵の気持ちを100%理解したうえで、家守父の気持ちも自分の経験をもとに代弁したというところが今回のポイントと捉えている。
九条の中にも父との関係性の中での後悔や、家族と離れ離れになっていることに対する後悔なのか未練なのか、わからないがどうもブラックサンダーとの関係の中で彼は親子ににた無償の愛であり奉仕の精神を実行するのではないかと思われる。
つかみどころの無さそうな九条であるが、おそらく壬生が飼い主を探していたということはこの話が始まり、金本の飼い犬であるドーベルマンを引き取った時点ではとりあえず適当にブラックサンダーと名前をつけたものの、「飼育」というか、育てる意思はなかったと考えるのが普通だ。
動物ゆえにブラックサンダーが特別に物語を直接動かすような働きをするとは思えないが、九条とブラックサンダーの関係性に今後親子や、人のつながりを見るようなシーンも増えるのかもしれない。
※個人的にはそれでもやっぱりお亡くなりになった「おもち」が気になって仕方ない。
山城、菅原について
今回菅原の介護施設は潰れたということは分かったが菅原と山城の去就はよくわからない。が、個人的には少なくとも山城に関しては「息子のように思っている」九条に対し、弱みを見せない父としてのプライドを見せたのが前回の描写であり、つまり前回の「ホテルで外されたバッヂ」というのは物理的にも外されただけでなく、実質的のもバッヂを外す=弁護士をやめたということを意味すると思っている。
最後にホテルで九条と酒を飲む、ということで山城はあくまで年長者、親としての意地と、これから待つ地獄のような人生に対する悲観を見せなかった、ということではないかと思っている。
九条の大罪 第23審以降の展開は
新章突入となる。
わたしとしては普段関わりのない「輩」的なキャラたちが、この弁護士とかの世界でも頻発していることに興奮を覚えているが、壬生一味(おもちメンバー)がいる以上、今後もそういったグレーゾーンの人たちは登場してくるのではないかと思っている。
第1審では壬生が、第2審から始まる「弱者の一分シリーズ」では金本などが、そして「家族の距離」では菅原などの「しっかり悪い人」が登場してきており、今後もグレーゾーンかどうかは別として一定の「悪い人」が登場してくるであろうと想定できる。
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