前回27審で強者の道理は終わったようだ。
新シリーズ突入である。
コミックス好評発売中です。
九条の大罪 第28審 あらすじ ネタバレ注意
ワンルームのような間取りの部屋。
納豆にのり弁当、6Pチーズ。コンビニで買ったような食べ物に箸をつけている。
部屋の大部分を占めるベッドでスマホをいじる女性。
腕にはかわいらしいウサギのキャラクターのタトゥーが刻まれている。
そして腕や足にはカッターで刻み付けたような痕がある。
洗面台に置かれた包丁と、部屋に横たわる男性。
壁にも腕に刻まれたキャラクターと同様のウサギのキャラが書かれている。
場面変わって九条と面会室で会う女性。先ほどの女性だ。
殺した相手は自分の生き方を変えてくれた、自分に価値があると教えてくれた、でもわかったのはそれは商品としての価値ということ。
自分を取り戻すために殺した、という女性は少し長くなるけれども、と前置きをして九条に語り始める。
飲み屋街で仲間と駄菓子を食べる若者。
その中で少し離れて座るのが、先ほどの女性、笠置雫(かさぎしずく)だ。
明らかに下品な感じの友達は、パパ活(P活)で担いだお金を、自担につぎ込んでいることについて語っている。輪の中にいるものの、笠置は少し仲間内でも浮いた存在なのか、帰る。とだけ言って去っていく。
地雷でウザい、手に偽装包帯ぐるぐる、メンヘラ、とおそらくは聞こえるような距離で罵られている。
駅構内だろうか、コインロッカーが並ぶ床に座る笠置。電話の相手はムーちゃんだ。
髪色の明るいムーちゃんはちょうど男性を殺した後の笠置と同様、自傷した痕とキャラクターのタトゥーが手足に彫ってあるように見える。
誘ったのはムーちゃんからだったが、始発まで仕事らしい。出会い系アプリでイケメンを呼ぶことを提案する。
数々のブサメン、オッサン、ジジイの写真にうんざりした後に1人のイケメンを発見する笠置。
本当に大丈夫か不安になるが待ち合わせの場所に現れたのは黒のジャケットに革靴のイケメンだ。
かわいい服だね、似合ってる。と爽やかに褒めるイケメン。
つづく
九条の大罪 第28審 感想
新シリーズ突入だがいきなり死んでいる人がいる。さて、どうなることやら。
笠置雫 京都の名前が付く新キャラ登場。
笠置雫の笠置=かさぎ というのが少し特徴的だと思い調べてみるとこのあたりらしい。
重要人物は京都の地名が与えられている、という法則で考えると、当然「消費の産物」編での主役は笠置とみるのが自然である。
そして、今回もあっさりと一瞬で1人死んでしまっている。
笠置自身がはっきり殺したと言っているので、スマホで電話をし、意思を持って出頭したのかもしれない。
「消費の産物」の守護は笠置なのだとすると、笠置が何かを消費したということになる。
この回想段階では、既に持っていたものを失う=消費し、その後取り戻すために男性を殺害した。というのが今回の話なのだろうか。
消費したものは若さなのだろうか、純白なのだろうか。
仲間内では浮いている感じの笠置のファッションは独特で、目につかないと言ったら嘘になる。というか自分の知り合いがああいう服装をしていたら結構ヤバいと思うのは私だけではないような服装だ。
過去の笠置の内面についてはよくわからない。
少なくとも仲間から何か距離を置かれるような部分はあるのだろうし、それはファッションなのかもしれないし、偽装した包帯などのかまってちゃんっぷりが鼻につく、あるいは遊んでいる仲間の中ではちょっと見た目が可愛いとか、そういうことも関係しているのかもしれない。
平然と床に座る笠置の育ちが良いようには思えないが、それでも未成年と思われる友達との路上飲酒&駄菓子&下ネタというコンボは少し似合わなさそうではある。
ムーちゃんのタトゥーと笠置雫
ムーちゃんについては非常に重要そうである。というのも服装が過去の笠置と類似しており、傷やタトゥーは現在の留置所にいる笠置そのもののように見えるからだ。
ムーちゃんを服装の観点で見ると、現在の笠置(服は家にいるからか分からないが、Tシャツ)より、過去の笠置(ゴスロリっぽい)に近い。
そして傷やタトゥーからみると現在の笠置である。
①無傷&ゴスロリ→②傷&ゴスロリ→③傷&カジュアルという形で見ると、
少なくともムーちゃんは②であり、今①に所属している笠置の将来を示しているキャラクターなのかもしれない。
それ以上に単純にムーちゃんと仲良し、スキでそういうタトゥーを入れたり、一緒に自傷をはじめたりするのかもしれないが、いずれにせよ今の延長上の未来を示すキャラクターがムーちゃんなのではないかと考えている。
始発まで働いているムーちゃんはブランドの手提げ袋を持ち、同じようにカバンを持っている。どう見ても始発まで働いているというのは、固定的な場所で働いている、例えばクラブのように接客をする場所でもなければ、居酒屋なんかでもない、いかがわしい仕事なのではないか。
刺されたのはイケメンか。ウシジマくんのホスト編くんに類似・対比している?
いまのところイケメンとしか言いようがないのでイケメンと表現するが、この出会いアプリであったイケメンにより笠置の人生が大きく変化し、最終的に刺し殺さざるを得ない(と笠置が考えた)。
というのが最も一般的なシナリオだろうか。
今ある情報だけで、倒れている男と最後に出てきた出会い系のイケメンが100%同一である確信はない。
ただ、今回の話はウシジマくんのホストくん編にちょっと似ていると思うところがいくつかある。
具体的には
- 自傷行為、リストカット
- 若い女性とイケメン(愛華・高田)
- ゲーセン(高田と愛華が初めて会ったのはゲーセン。今回イケメンはクレーンゲーム前に登場している)
- 男性を殺し、女性が活きている(女性の愛華は自殺し、男性の高田は生きている)
というところが類似していたり、対比しているんじゃないかと思っている。
ホストくん編では高田が残されてしまったものとしての気持ち、一方的な愛と、それを作ってしまった自分への強い後悔、嫌悪が描かれていたと考えているが、今回の笠置はどこか爽やか、というか殺してしまった自分の選択そのものに後悔をしているという感じがあまりしない。
単純にメンヘラだから、という理由なのかもしれないがおそらくは順を追って九条に過去を語る笠置には、笠置なりの理由があるのだろう。
九条の大罪 第29審以降の展開は
長い話になる、と言っているので結構長いシリーズになるかもしれない。自殺の心境も、強者の道理も数話で終わってしまったので、少し長い話も読んでみたい。
とはいえ、一般論的にハッピーエンドになりえない今回のストーリーは、読んでいて結構陰鬱な感じになる、そしてそれはある意味面白い話なんじゃないかなと期待している。
コメント