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九条の大罪 第32審 あらすじ ネタバレ注意
セミが鳴いている。
歩道橋の上で九条を呼び出し、頼みごとがある、というのは京極だ。
自分が面倒を見ていた会長のAVメーカーが訴えられていて困っている、過去にさかのぼっての販売差し止めと慰謝料の請求をされていると。
人権派弁護士の亀岡麗子がマスコミを巻き込んで大事になりそうだと。
手下に買わせたガリガリくんを食べる京極。暑い夏にはどんなに座布団(ヤクザ内での序列を指すと思う)が上がってもこれだ。といい九条にも勧める。
ガリガリ君を食べながら話す京極と九条。
亀岡は九条の同期らしい。
京極は人権派弁護士の言う弱者救済に反吐が出るという。弱者は切り捨てるべきだと。
裁判所から出てくる亀岡と中年の男性。何らかの裁判で無罪を勝ち取ったようだ。
男勝りとは亀岡先生のためにある言葉、と言い喜ぶ中年の男性の言葉に亀岡は引っかかる。
女が最初から男に負けているという意識が根底にある、と言い不快そうだ。
なおも中年男は空気を読まず、美人な女性なのに強いと褒めているんだ、と自らフォローを試みるが、用紙も性別も弁護士能力と関係ないと正論で返される。
勝訴祝いの食事を断った亀岡は公園のベンチで流木弁護士と会話している。
流木は結婚は考えていないのですか?と問いかけるが、その質問はハラスメントですよ。と年上の流木にも毅然と突き返す亀岡。
YouTubeで亀岡の夫婦別姓の講義を見て、九条が結婚相手にうってつけだと思ったのだ、と流木は伝える。
九条と聞いて一瞬ピンとこない亀岡だが、「ああ鞍馬くんのことか」と気づき、冗談はやめてくださいと言う。変人で、反社の弁護ばかりして悪いうわさしか聞かないと。
流木はそれについて否定はしないものの、芯はしっかりしている男、と九条について理解を促そうとするが、全く関係ない話、と亀岡は帰ってしまう。
AVの面接の続きだ。家族や友達にバレることも問題ないという笠置雫。
AV女優はクラスで三番目にかわいい子がなるもの、という面接者に対し、自分なんか最下位だ、というが、自己評価が低すぎる、一番のアイドルレベルだ、という面接官。
AV女優の8割が企画女優でそれはモブのようなもの、雫は一握りの選ばれし単体女優の素質があるという。自信を持ってください、という。
自信は一番持ち合わせていないものだという雫。
面接官はさらに成功が自信につながる、と励ます。
メイクの田城もすごくかわいい、髪もきれい、すごく綺麗に撮ってくれるから大丈夫、と雫を安心させる。
怖い。とつぶやく雫。
スマホを見ると修斗からのメッセージ。
気持ちはいつもそばにいるよ。というものだ。
修斗君の為なら何も怖くないと決意を固める雫。
つづく
九条の大罪 第32審 感想
一気にいろいろな既存キャラクターが登場してきた。まずはヤクザの京極である。
京極から仕事の依頼を受ける九条。亀岡麗子との対決となるのか
京極の知り合いの会長、というのがこのAVの面接をしている男ではないと思うが、要は雫が出演しようとしているAVメーカーというのか会社というのかが現在進行形で訴えられていて、そこに京極もつながりがあり、結果的に九条が登場してきた。というのがこの過去の話である。
つまり、将来的には九条は亀岡と対決する可能性がある、というか可能性としてはとても高いと見ていいのではないか。
今まで九条は無罪を勝ち取ったり減刑となるような手綱さばきを見せたりと、活躍してきたが本格的な弁護士を相手にするのは、山城祐蔵(やましろ ゆうぞう) の次の機会である。
そして話の流れ的には九条は見事な着地に持ってくると考えるべきだろう。
そうなると、京極が危惧している大事になりそう、という状況にはこのAV業者は追い込まれずに済むのではないかと思う。
九条はこの段階で初めてAV業者について依頼を受けたようなので、業者も知らなければ雫のことも全く知らない状況のようだ。
亀岡麗子は女性蔑視のような考え方を受け付けない。依頼人であっても、恩師であっても毅然とした態度と、女性蔑視や軽視といった発言は見逃さず、一貫して厳しい態度である。
弁護士になる動機は色々あると思うが、京極が反吐が出るという弱者救済、とりわけジェンダー方面での平等な社会を目指して弁護士になったかのような、強い使命感を感じる。
年齢も九条の同期ということはだいたい30歳前後なのだろうか。流木が結婚について口にするのは結婚をしていてもおかしくない年なのに一向にそういった気配が無い亀岡に対し、悪評はあるものの信頼する九条はどうなのか、ということを率直に伝えたかった、とうようなことかもしれない。
過去の話を確認したら九条は司法試験に5回落ちているので、九条より5つくらい若いのだろうか。そうすると九条は30代中盤から後半くらいでマンションの屋上に住んでいることになり、十分変人である。
笠置雫の決意。修斗のライン
笠置雫はAV出演を怖がっている。
過去のトラウマがあるからだ。
それは面接の段階ではそこまで表出しなかったがメイクの田城、同性の人間と話しているときに、つい本音が出たようでもある。
しかし、雫は修斗のラインを見て出演について怖さを振り切る。
AVの面接官の人だか会社の人だか知らないが、彼も雫の価値について、自信について、何度も励ましていた。しかし、雫にとって最初に自分の価値を認めてくれたのは修斗であり、同時に彼はイケメンである。
傍で見る我々からすると、この修斗のメッセージやここまでのやり取りの白々しさというものは明らかである。
しかし、重要なのは修斗が雫にとって初めて雫自身の価値を定義してくれた人である、ということで、思春期から続く長いトラウマの出口にパッと現れた王子様である修斗の言うことは、少しばかりおかしな過程をたどった内容であっても今の雫にとっては全てなのである。
その証拠に、性に対してトラウマを抱える雫が、前回風俗嬢となることも覚悟していた。
自分が大切にする人を風俗で働かせてもいい、というのはいくら何でも無理があるように思える。なので普通であればそのような話があった場合、雫に芽生える感情は驚きや不信であるはずだ。
しかし、雫はむしろ金銭的な破綻も含め、この状況を理解、覚悟したうえで修斗との関係を継続していたことになる。
破綻を冒してまで守られたものは何なのかというと修斗に肯定され再定義された雫自身であり、ゆえに修斗がこうするべきだ、とかこうあってほしい、というような雫の仕事というのは風俗嬢であっても、AV女優であっても、全然違う職業であっても、なんだっていいということなのではないか。
第33審以降の展開は?
前回は、雫がいつ修斗に対し刃を向けようと決意するのか、について考えていたが今回のラインのメッセージのあたりを見るに、かなりの時間を要しそうに感じる。
そして、今、雫はメイクをしているのでDVDのパッケージの撮影なのか、AVそのものの撮影なのか分からないが次回以降はいよいよAVデビューとなってしまいそうである。
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