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九条の大罪 第48審 あらすじ ネタバレ注意
小山がコンビニでレジから大きな声で店員を呼んでいる。
店員はイラっとし、ため息をつきながらレジにつくが、そんな様子を観察する様子の小山。
不機嫌そうな態度や雑にビニール袋に商品を詰め込む店員の態度を見て、そのイヤイヤな仕事ぶり、他人への配慮が欠ける生産性のない無価値な人間だ、と罵る。
小山の口調自体は丁寧語で、確かに店員の態度はいただけないものだが羽振りの良さそうな小山がなぜ突っかかっていくのかはよくわからない。
小山が言うにはコンビニは無人化したほうがいい、という。要はこんな店員の態度を取られるようなら人件費を削り、その分おにぎりが安い方がいい、ということを言っている。
堂々と批判され、「キモっ」と口にする店員の男。
それに対しさらに、「気持ち悪いのはあなたの勤務態度です。」と言い返す。
怒った様子で「ありがとうございましたぁぁ」というお決まりの挨拶を放つ店員の声を背に、ご機嫌そうに店を出る小山。
店の外では多分高級なファミリーカーを停めており、後部座席に座る娘の紗理奈に「ママに内緒だよ」と言っておやつを買って渡している。
小山が電話をする。相手は九条で、感謝を伝えている。おそらく指示通りのアクションで嵐山の追及を逃れたことへのお礼だろうか。
屋上で烏丸が買ってきたパンとコーヒーをのんびりと食べる九条だが知らない番号から電話が来る。
娘の莉乃だ。元気かどうかだけを確認するそっけないやり取りのようだが、何となく敵意も感じられない。5歳の娘なので、わかることとわからないことがあるのかもしれない。
烏丸は子供携帯の発信の際に親が連絡先を登録しないと電話がかけられない、という点を九条に伝え、九条の元嫁が登録してくれたんだな、ということを九条に伝える。
それを受けた九条の表情は横顔になっておりあまり良くわからない。
場面が変わって嵐山が衣笠美穂と向き合っている。どうも「なるはや」うどんのようだ。
小山とのやり取りで何も言い返せなかったということを素直に衣笠に伝える嵐山。ちょっと意外である。
どうもこの事件を経て嵐山自身の変化があり、それが好ましいのか衣笠はずいぶんやさしくなっている気がする。
小山の様な自信満々のクズに若い子は弱い、ということを嵐山に伝える。嵐山が自己を開示をしている分衣笠美穂も自然に美穂の情報を伝えているように見える。
宇多田ヒカルのことを藤圭子の娘という嵐山と藤圭子の事を宇多田ヒカルの親という衣笠美穂とでは明らかな世代のギャップがあるようだが、そういった歌の趣味や思いやりのあった愛美の話を衣笠美穂はしている。
うどんに大量に七味をかける嵐山の癖は愛美と一緒らしく、ついくすり、としてしまう衣笠美穂。
ついに嵐山は頭を下げきちんとした言葉で美穂さん、と言い感謝を伝える。
美穂も愛美は嵐山のことを凄く頼りにしていたと思う、と伝え仕事に行く。
今度はスーパーマーケットで、嵐山がコンビニのお菓子売り場を通る。
ふと目についたパイの実を昔虫歯になる、という理由で駄々をこねる愛美に買い与えなかったことを思い出す。後悔した嵐山は涙し、スーパーの通路に膝をついて座り込んでしまう。
つづく。
九条の大罪 第48審 感想
小山、九条、嵐山の三者三様の娘との接し方が垣間見えた回であった。
嵐山のいい人感がやや上がる話だったと思われる。
小山と嵐山 実の子供とお菓子をめぐるやり取り
お菓子を子供に与えると虫歯になったり、良くないのだろうか。
私自身はお菓子を食べたことももちろんあるが虫歯にはならず、全然そういう因果関係はないように思えるが、いわゆる躾の一環として、お菓子という誘惑に対して適切に向き合う、ということは一つ重要であると考えていいと思う。
お菓子を与えないのは例えば虫歯リスクの為、というのもそうかもしれないし間食の週間化を防ぐ、とかインスタント食品を多く食べさせたくない、とか糖質脂質を過剰に摂らせたくないから、とかいろんな理由があると思うが、子供にモノを与えるのを制限することで何らか未来の子供に対して教訓を与えたい、成長してほしい、というものの一つではないかと思う。
子供のやりたいことにすべて応える、機会を十分与える、という教育姿勢や方針もあるかもしれないが少なくとも嵐山は良かれと思って、パイの実を買ってあげれば喜ぶ愛美の顔が見れる、パイの実を断ればさらに泣きじゃくり嫌われる、ということは分かったうえでパイの実を買わないのである。
いっぽう小山はパイの実を買い与える。そしてこれは教育方針ではない。
というのは、ママには内緒と言っているので、小山家の方針としては塾の前にスイーツを食べるのは何らかの理由でダメなのである。
しかし、家長である小山自身がその方針を破る。そうすることで紗理奈は小山のことを好きになる。
しかしこのやり方では「小山家の方針」のような長期の紗理奈の育成において何が重要なのかブレブレで、その矛盾について父と母が上手に役割分担をしているとも思えない。
つまり紗理奈としてはただただパパはやさしい、ママは怖い、と思うような人間になるだけではなく、やさしいパパを正しいものとすると、ママはおかしい、となってしまう。
こういった一枚岩でないことは家庭を一つの組織として見ると非常に宜しくないことのように思えるが、もはや小山としてはこういったことが娘や女性を扱ううえでの必勝パターンとばかりに当たり前になりすぎているようにすら思える。
鳥が先か卵が先かのようにどちらが先か分からないが、こういった極めて短いスパンでのやり取り、逆を言えば5年10年先なんか考えてもしょうがないという性格だから、もしかしたら若い女性が多いAV業界というのは小山にとって得意分野なのかもしれない。
そうなると目先の女性の管理は得意だとしても、AVメーカーだか何だかの社長としての仕組み作りであったり、リスク管理なんかは不得意なのではないか、と思ってしまうのである。
その証拠かもしれないのが42審の京極との部屋でのやり取りかと思っている。普通であれば極道である京極に遠慮して思ったことを口にしなかったり、あるいはどう反応されるか分からないような言葉は避けたいはずだ。
しかし小山はあっさり(外畠は)「生きてるのか」とか、言ってしまうのである。
ちょっと気を抜いた失言のように思っていたが、要は2手先、3手先の事やそれぞれの背景に本質って気に興味がないからそういうことを言ってしまうのである。
九条がついているからと言って、非常に危なっかしいのが小山という男であると改めて認識できる会であった。
最初のコンビニの店員とのやり取りもイマイチよくわからなかった。
小山は自制心をもって敬語・丁寧語で話をしている。が話す内容がわざわざ話す必要が1㎜もないことに思える。
多分小山は優越感を得たいとか、ストレスを解消したい、とかそういうことですらなく、ただ遊べそうなことがあるので遊んでいる、そういう感じなんじゃないかと思った。
その結果どうなるか、ということはあまり関心がないのではないか、と。
第49審以降の展開は?
話、特に嵐山や小山から見た事件の真相への直接的な距離感は進んでいない。
しかし、自らを衣笠美穂にさらけ出した嵐山の精神的成長が、少し衣笠を変えているようにも見える。
あるいは、衣笠美穂は非常にしたたかで、嵐山に都合のいい話をただ話せばただ飯が食べられたり、お金をもらえたりする、という理由でテキトーにしゃべっているということも考えられなくもないが、衣笠美穂の表情は思いのほかやさしい感じになってきている。
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