【ライブ配信】広瀬隆雄氏「米経済が政策金利の引き上げを決定!広瀬隆雄の2022年米株市況アップデート」(4月8日開催での広瀬隆雄さん登場シーンの備忘メモです。ざっくりとしたメモになっています。詳しくは番組をご確認ください。
本記事は情報の整理を目的としております。
じっちゃまメモ2022年4月8日 【ライブ配信】広瀬隆雄氏「米経済が政策金利の引き上げを決定!広瀬隆雄の2022年米株市況アップデート」
目先の米株は上を見ている。が、ごく短期のトレードウインドウ。5月の声を聞けばちょっとポジションを軽くしたい。
5月、6月FOMCがあるが、それぞれのFOMCで0.50%の連続した利上げが実行される見方が有力。それは市場にコミュニケートされて債券市場では織り込まれている。
株式の投資家も理解しているが、かなりアグレッシブな利上げなので頭ではわかっていても、実際にそれが来ると、けっこうビビるかもしれない。というリスク。
昔から「Sell in May and go away」5月になったら株式を手じまいしてバケーションにでも行け、という格言がある。毎年季節要因で5-6月は苦しい月として知られている。
今年はとりわけ、そのタイミングでがっつりした利上げが来るのであまり楽観視するのは良くないのではと思う。
それ以降は秋口も多分結構苦戦するのではと考えている。
今年の年末ころようやくマイナス圏から株価が這い上がってくるシナリオを描いている。
2022年は良くて前年プラスマイナスゼロの展開を考えている。
連邦準備制度理事会(FRB)が考えていること
先日FOMCの議事録が公開された。
その議事録のメッセージで一番重要なことは次回、5月FOMCで0.50%利上げをします、そして必要であればその後も0.50%刻みで利上げをする用意がある、ということ。
もう一つのメッセージはQT、連邦総資産の圧縮が今回のFOMCから始まる可能性がある。
最初はスケールを小さくして、7月のFOMCまでにはフルスピード。毎月950億ドルの縮小、米国財務省証券-600億ドル、住宅抵当証券ー350億ドル。
950億ドルというQTの大きさについて。
今年の年初から行われてきたテーパリングの規模は毎月300億ドル。FRBの総資産は右肩上がりで増えていたが、増加のペースを減速させるのがテーパーだった。
原則幅が300億ドル、300億ドル、300億ドル、という形で今水平飛行している。
そして5月~QTというかたちで引き締めに転じる。そのペースが最初はゆっくりしているがだんだん加速し、7月頃には毎月950億ドルのペースで減額していく。
前回2017年~2019年のQTが行われた際のペースは最大で毎月500億ドル。ざっくり言って今回は前回の倍くらいの規模になる。アグレッシブなQT、利上げ、そうした断固とした引き締め政策がこれから繰り出される。
前回FOMCで声明文に添付されたSEP経済予想サマリー、ドットプロットという言い方もあるが、FRBメンバーが政策金利会合に入る前にアンケート用紙が配られる。あなたは今年のFFレート、GDP、失業率、インフレ率にどういう予想を持っている?というアンケートの集計結果。
ミーティング前のメンバー各人の予想を持ち寄ったものになる。
それによると今回3月FOMC、2022年末のFFレートコンセンサスは1.9%だった。
これは去年12月のFOMCの0.9-%の予想よりポーンとジャンプしている。そして2023年末にFFレートは2.8%になるというのがメンバーの予想。
今のインフレ率は7.9%。政策金利は今年末の段階で1.9%しかない。
政策金利の方随分低い、ゆるゆるの金融政策とみられても仕方ない。なるべく急いで政策金利をあげて行かないといけない。
じゃあ、どのくらいの水準に着地させるんだという問題があるが、非常に大雑把な議論としてだいたいFFレートで2.5%だったらニュートラル・レート。つまり、インフレを加速させない適正な水準じゃないか。そうは言っても2.5%がニュートラルである根拠はない。でも一般論として政策金利がそのくらいならゆるゆる過ぎではない、と、こんにちのアメリカでは理解されている。
2023年末で2.8%というFFレートは何をシグナルしているかというと中央銀行家たちの期待、希望、考え方として、2023年までにはニュートラルに持っていきたい、という希望が現れた予想数字と考えていいと思う。
こういう風に中央銀行家が将来の政策金利の軌跡に関して予想を出す、それはForward guidanceと呼ばれることもある。
経済予想サマリーのなかで将来のGDPに関するメンバーの予測は2022年は2.8%、2023年は2.2%。
2022年の2.8%成長はこれまでの実績からするとかなり強いGDP成長と言えると思う。
失業率は2022年3.5%、2023年3.5%、2024年3.6%。先月の失業率は3.6%だったので、2022年末のターゲットに限りなく近いところに来てしまっている。完全雇用に近い理想的な状況。
今理想的でないのはインフレ率。
FRBメンバーの予想するPCEインフレ予想は2022年末4.3%。2023年末2.7%。
ちなみに米議会からFRBが言い渡されている努力目標は2%。
そうすると、4.3%というインフレ率はターゲットより大幅にオーバーシュートして、FRBがいい仕事をしていないということだと思う。
目先のFRBのジョブNo1はインフレをどう抑えるか、が問題で失業率の改善ではないということ。
FFレートには先物がありCMEというデリバティブ取引所でFFレートの先物が上場され取引されている。その取引実勢価格から逆算して、市場参加者がどのくらいの確率で次のFOMCで利上げがあるのかを計算する方法がある。その結果がCME Fed Watchに掲載されている。5/4の利上げ確率は80%くらいになっている。
次回5月4日のFOMCではほぼ確実に0.50%利上げがあって、0.75~1.00%の政策金利になることが織り込まれている。
6月15日のFOMCではさらに+0.50%の利上げがあり、1.25-1.50%の政策金利になる確率が60%くらいになっている。ほぼ確実にもう一回0.50%利上げがあることが織り込まれている。
ここまでの説明だが、市場参加者はアグレッシブな利上げが2回続くことはほぼ間違いない、もう観念して我慢するしかないという心は決まっている。それ自体は織り込み済みと言えるが、0.50%利上げが2回続くのは非常に非常に異例。
僕が1988年にアメリカに来て投資に絡む仕事をしてきたが、30年のキャリアで2回連続で0.50%利上げが行われたことは一回もない。その意味において過去に例のない引き締めがこれから行われようとしている。
市場的に織り込まれているとはいえ、実際にやってみると、あれよあれよとマーケットがあらぬ法王に転がるリスクもそうていしたほうがいいのではと、僕は思う。
米国経済の近況
金融引き締めが米国経済にどう影響するか。リセッションが来るのでは、と最近言われている。
リセッションのシグナルとして市場参加者が好んで使うシグナルが10年債利回り-2年債利回りがゼロあるいはマイナスになったらリセッションの前兆と理解されている。
4/1ころ、10年債利回り-2年債利回りは瞬間的にゼロに入り、今はまた金利差が拡大し、0.19%くらいポジティブになっている。
長短金利差ゼロになった後何が続くのか。
長短金利差がゼロになった後は必ずリセッションは来ている。
しかし、長短金利差ゼロになり、即リセッションが来るのではない。ゼロになった後、1年もしくは2年の時間的猶予があったあとでリセッションが襲ってくる。
だから、1リセッションが来ることは避けられない でも2それは今日ではない。 ということ。
なぜリセッションを恐れるのか。という話に脱線したい。
リセッションが起きるときはその直前に米国のマーケットが-20%、-30%あるいは-45%、というようなざっくりした大きな下げがリセッションの直前に起きている。
だから何が言いたいかというとリセッションが起きるのは今回長短金利差ゼロになったので避けられない。
そうすると目先、この4月は相場は上を見ている。そして、5月はセルインメイでちょっとポジション軽くして様子を見たほうがいい。そして今年は1年通じてグズグズした展開で年末くらいにやっとこさS&Pが前年プラスマイナスゼロにまで戻ってくるかも。というシナリオを描いている。
それは今年の話。
向こう1年後、2年後という遠い将来の話をすれば、そのどこかでスパーン!とやられるような大きな下げが来るかもしれない。長短金利差ゼロは、それをシグナルしている。
今年1年やり過ごしてもそこからガードを下ろして、ズンズン株式を買って行けるかどうか、わからない。
ひょっとしたらリセッション来るかもしれないという話をしている。
30年固定住宅ローン金利。これは10年債をベースとして金利が決められている。最近10年債利回りが上昇しているので、30年固定住宅ローン金利もかなり今上がってきていて、4.7%くらい。
新型コロナ以降、住み替えブームというか、コロナで在宅勤務が強いられた、そしてマンハッタン、サンフランシスコ、そういう大都会でアパート住まいの人が家から仕事をしても、子供がギャアギャア泣いていてリモート会議も仕事にならない。もっと大きな郊外の家に住みたい、というような住み替えブームが来た。
とりわけ新型コロナ以降の超低金利を活かした住み替えと、大きな不動産投資ブームが起こっていた。
しかし今は住宅ローン金利はどんどん上昇している。これからは中古住宅や新築住宅の販売に陰りが見えてくる。景気がスローダウンすることを予期しなければいけない局面に入ってきつつあることを考えないといけない。
消費者は足元の景況感をどう感じているか。ミシガン大学の消費者信頼感指数はかなり低い。
失業率は低く、雇用市場は非常に好調。賃金もどんどん上がっている。普通であれば消費者のマインドはしっかり出ないといけない。なぜ消費者はシューンとがっくりしているか。
その原因はインフレ。スーパーに買い物に行ってもすべてのものの値段が高い。先週までと同じ買い物をしても、高かった、買い物が計画通りできなかった、とか低所得者層を中心に生活の苦しさを訴える人がだんだん増えている。
それが消費者信頼感指数が低下している理由だと思う。決して家計部門の負債比率が高いから、とかではない。
過去の米国の景気後退は例えばクレジットカードローンの返済に窮してそれが原因で消費が鈍るということがあった。1990年-1991年の景気後退はそうだった。
今回はウクライナで起こっている戦争で小麦やエネルギーの値段が上がった。何となく生活が苦しい。ぜいたく品を買うお金がない。これが、もし景気後退が起こるなら引き金になるのではと思う。
全米平均レギュラーガソリン価格。原油価格の上昇が原因で高騰している。
アメリカの場合、車で通勤するのが普通の姿。そうするとガソリン価格の上昇は通勤費の高騰に他ならない。消費者が直撃を受けるということ。
そういったことも今後どういう風にアメリカがリセッションに入っていくのか、といういくつかのシナリオのうち、一番起こりやすいシナリオとしてエネルギー価格や食品価格の高騰が消費者のセンチメントを害して、それが引き金でリセッションが来るというのがメインシナリオではと僕は考える。
CPE キャロン・ペトロリアム
西テキサスのパーミアンと呼ばれるシェールコークを中心に権益を持っている。
非常に優良なコークを持っている。パーミアンという生産性の高いコークだけに集中している。アセットのクオリティは非常に高い。
操業度というか効率性も非常に効率経営。
じゃあなんで株価が出遅れているのか。
多分アメリカのシェールの会社の中で一番割安放置されている銘柄の一つと思うが、理由は不利な理由でシェールオイルの生産の価格をヘッジしたから。
具体的には59ドルでしか売れていない。今原油価格は100ドル近いのに、何で59ドルで売ってしまっているのか。大きな批判を受けているが、理由がある。
この会社はパーミアンで有望な油田をドンドン買って行った。その際に借金があるがきちんと返済できないと倒産してしまうので原油価格が低い水準でも大事を取って、今この値段でヘッジしようと先物で売りつないでしまった。
それがキャロンペトロリアムの売値価格が低い理由。
それは今日の話。でも来年、再来年の生産分に関してはまだロックインしていない部分がある。もっと言えば今は不利な値段でしか原油は売れていないが将来の生産分に関してはヘッジ比率が下がってくるのでより有利な値段で売りつなぐことができるようになる。
つまりCPE キャロンペトロリウムの問題点は時間が解決する。しばらくこの状態でやっていると自然に問題が解消する。だから面白いと思う。
SWN サウスウエスタンエナジー
CPEはシェールオイルだが、サウスウエスタンエナジーはシェールガス=天然ガスの会社。
マーセラスと呼ばれるアパラチア山脈、つまりアメリカ東海岸のバージニア州とかウエストバージニア州あたりの昔は石炭が出る地域だったところにシェールガスもたくさん閉じ込められている。
そのマーセラスの天然ガスで最大級の業者がサウスウエスタンエナジー。非常に堅実に経営されていると思う。経営陣のビジネスに対する考え方も地に足がついている、共感できる部分が多い。
彼らは、良質な天然ガス田を適正なコストで買収する、その優良なポートフォリオで食っていきたいというのがサウスウエスタンエナジーの経営陣の考え方。それは僕もいいと思う。
問題点は天然ガス価格が低迷していた時に、安値でたくさんの天然ガス田を取得した。具体例としてはチェサピークエナジーという大手のシェール企業があるが、それが経営危機に陥って、オーブリー・マクレンダンというCEOが謎の死を遂げる痛ましい事故があったが、そんなこんなでチェサピークエナジーの経営がぐらぐらしたときにマーセラスの天然ガス田を譲り受けたのがサウスウエスタンエナジー。
安値でアグレッシブに天然ガス田を取得した結果、負債もたくさんしょい込んだ。その借金を返せなくなったら倒産したら元も子もない。
きちんと借金を返せる値段で将来の天然ガスの生産を売りつないで、利払いだけはガッチリ確保しようと、安値で売ってしまった。さっきのCPE キャロンペトロリウムと全く同じ理由でサウスウエスタンエナジーも安値で価格をロックインしてしまった。
これも時間がたてばより有利な値段で売りつなぐことができるようになる。
CPEとSWNは全くストーリーは似ている。かたや石油、かたや天然ガス。
非常に割安に取引されているのがサウスウエスタンエナジー。
OXM オクスフォードインダストリーズ
アパレル。2つの強いブランドを持つ。
トミーバハマ:主に男性向け、最近は女性向けも存在感を増しているが、アロハシャツみたいな派手なプリントの入ったキャンプシャツが売り物のブランド。
リリーピューリツァー:女性のワンピースなどのドレス。派手なピンクのドレスなどを作っている。
ピューリツァーというのは新聞などの報道関係でピューリツァー賞というのがある。非常に優れたレポートをした記者や新聞社に対する賞として。そのメディア関連のアントレプレナーのピューリツァーの末裔がデザイナーとしてデビューしたのがリリーピューリツァーというブランド。
彼女はフロリダ、マイアミだったかな?パームビーチかどっかに旦那さんと結婚して移り住んでフロリダのオレンジジュースを絞ってその場でフレッシュなジュースを販売するそういうジューススタンドみたいなのを経営し始めたが、オレンジジュースのしぶきでドレスが汚れてしまう。
しぶきが飛んでもドレスの汚れが分からないオレンジ色やピンク色の花柄のドレスを着てジュースを絞れば来店客には分からないよね、とジューススタンドのサイドビジネスとしてドレスをデザインしてジューススタンドで売ったところ、人気になり、ジュースよりドレスがメインビジネスになった。
本当にホンモノ感のあるブランドになったのはそういう理由。
なぜこの銘柄を紹介するかという理由は、この前の決算発表の中身が非常にしっかりしていた。なぜ業績が良かったのかというと、バカンスというものにトミーバハマもアロハシャツで関係し、リリーピューリツァーも関係している。
今アメリカ人が一番欲しいものは、Mac book airのようなガジェットでもネトゲでもなく、バケーションに行きたいという願望。
その時どこに行くかというとビーチリゾートなどのニーズが高い。
先日もクルーズ船のCCL カーニバルが足元の予約状況で過去最大の予約が殺到しているというニュースリリースを出していたがそれと同じ流れでこれからはバケーション関係が非常にいいんじゃないかなと。
それを洋服という形で表現したのがOXM オクスフォードインダストリーズ。
もう一つこのブランドに関して言えるのは値段が高い。アロハシャツ1枚で1万5000円くらい。ほとんど値引きもしない。マージンが非常に高い。堅実経営ともいえる。
過去最高益に近い業績に今年もなるし来年もそうだと思う。
CAKE チーズケーキファクトリー
レストラン。比較的店舗規模は大きい。
イメージとしてはラスベガスに行ったような、ディズニーランドに行ったようなテーマ性のある、インスタ映えする、楽しい、おしゃれな、ややもすると誇張されたインテリアのレストラン。
だから食事自体を楽しむということもあると思うが、それ以上に華やいだ雰囲気、浮世離れしたファンタジー的なインテリアを楽しむところがチーズケーキファクトリーというレストラン。
この会社の特徴は売り場面積当たりの売上高、つまり効率がメチャクチャ高い。
生産性の高いレストランと言えると思う。ただ、新型コロナの期間中は行って実際に着席して雰囲気を楽しむタイプのレストランだった故、テイクアウトになったら全然楽しくない。
そういう理由で新型コロナ期間中は特にパフォーマンスが悪かった。今は挽回すべき時期に来ている。
新型コロナ期間中にアメリカではかなり高級レストランもバタバタと潰れた。
大都市圏、ニューヨークやサンフランシスコではレストランの10%から15%が閉店、淘汰された。
今新型コロナ明けで外出がまたブームになっているが、淘汰された業者のマーケットシェアをチーズケーキファクトリーが奪うことができるのではと言われている。
DDS ディラーズ
百貨店。
非常によく経営された百貨店です。
日本人は知らないブランドかも。この会社は一刻な経営というか変わっているというか、偏屈なところがあって、プリントアド、あるいはテレビ広告とか広告宣伝が非常に少ない。
投資家に対するアピールも全然やらない。四半期決算のカンファレンスコールもやらないというぶっきらぼうというか投資家にフレンドリーじゃない会社。
それはなぜそうしているかというと、一切媚を売らないというのが会社のポリシーになっている。
経営者の考えとして、百貨店たるもの、得意客に対しいい品物を提示する、それだけが百貨店がサバイバルできるかどうかの分かれ目になるという経営哲学がある。
売り上げた結果としての利益をほぼ100%マーチャンダイジングだけに再投入する。つまりいい商品をお店にそろえて消費者に買ってもらって、売上が出たらいい商品に再投入する、古風な経営哲学を持っている。
店舗もショボいイメージではないが、こけおどし的なゴージャスな店舗ではない。非常にシンプルな店舗。ロゴもシンプル。百貨店の中を歩いた感じも必要ない飾りつけは一切ない。
だけれども商品はものすごくしっかりした商品しか取り揃えていない。消費者がもっとも欲しがる、新しい、あるいは売れ筋のシャキッとした在庫を常にリフレッシュしている会社。
うちのワイフも買い物に行くが、メイシーズやサックスに行っても何も買うものがなかったと、手ぶらで帰ってくることがあるがディラーズに行って何も買わなかったことはあり得ない。必ず魅力的な商品がある、そういう百貨店。
百貨店の経営者がライバルとしてマークしている百貨店の経営者のための百貨店がディラーズという銘柄と思う。僕は非常に尊敬に値する経営をしていると思う。
質疑応答
ルルレモン
よく経営されていると思う。数字ピカピカと思う。同じく経済再開関連と言えると思う。
冬が終わりガスの需要は終わりかけと思うが、天然ガスはこれからも買い?
微妙なところ。一つ言えるのはヨーロッパにおける天然ガスの在庫が例年よりはるかに低い水準。その在庫を少し標準の水準まで戻す必要性があると思う。
それに加え戦争の要因があり、引き続き天然ガスに対するプレッシャーはあるということができると思う。
原油に関しても少し言っておくと、今回はウクライナ問題に絡めてロシア産の原油ボイコットは対象にならなかった。石炭だけが対象になった。しかし今後ある時点で石油のボイコットがあるかもしれない。
もう一つ言えるのは需要家はロシア産の原油はなるべく買わないようにしているという消費者の防衛行動がでている。自分が買い付けた原油がタンカーで消費地に運ばれている途中でボイコットが発表され、輸入してはいかん、となると目も当てられないのでロシア産の原油はなるべく買わないようにしようという防衛本能が働いて、いまロシア産の原油がなかなか買われなくなってきつつある。
多分その分はインドとか中国に回されると思うが、結果として何が起きるかというとオイルタンカーの高校距離がこれまではバルト海からヨーロッパに出荷するという近場同士の原油の運搬が主流だったのが今後はロシアからスエズ運河を経由してインドに輸出するとか、距離が延びると思う。
その意味においてタンカー株とかは面白いんじゃないかと思う。
グロース株、割高感低下による見直しのシナリオで金利の目安はあるか?
難しい。
僕はハイパーグロース株のベアマーケットを経験している。最大のベアマーケットはドットコムバブルがはじけた時のネット企業のベアマーケットと思うが、あれは3年くらい続いたのかな?
いまは、去年の6-7月くらいがハイパーグロース株のド天井だったと起算してもまだ1年もたっていない。日柄的に全然不足しているように思う。
加えて今の金利見通しを考えた場合、冒頭で説明したが5月+50BP,6月+50BPと過去に例のないアグレッシブな利上げ。
ドットコムバブルがはじけた時もそういう利上げでなかった。
今回のグロース株の環境の方がドットコムバブルがはじけた時よりはるかに厳しい環境と思う。グロース株が去年の高値まで戻る可能性と、グロース株がここから半値になるリスクを比べた場合、半値になるリスクの方が大きいと思う。
なので今はグロース株を買うべきではない。
セクターローテーションというか物色の矛先にはサイクルがあって、人気セクターは移ろいで行くもの。今年の1月くらいからはエネルギーのセクターが人気になっている。
もうそろそろエネルギーも飽きてきた、またグロースに戻るのでは、と言っている声もあるが、それはあまり相場の経験が長くない人の感じ方では。
ひとたびあるグループが人気化すれば、それは3か月くらいで終わるものではなく、1年、2年、3年くらい人気が続くという場合の方が多いと思う。
だから過去2週間くらいを振り返れば、今はウクライナとロシアが戦争したという突発的な材料が出たので、瞬間風速としては原油価格もパーンと跳ねたし、あの時点ではいったんはエネルギーは買われ過ぎになった。
だからちょっと冷やしたほうがいい、原油価格は100ドルを割って85ドルくらいになるかもしれないという話を僕はした。
だけれども現実にいま原油価格は100ドルを切ってきた。今の水準ではエネルギー株とグロース株を天秤にかけるとエネルギー株の方がはるかに魅力があると思う。
セクターストラテジーとして、グロース株をオーバーウエイトしないでください。それは凄く危険。
これからなんですよ。金利がぐいぐい上がり始めるのは。
その時にグロース株は一番脆い。くれぐれもその時にグロース株を買っていない、買わないでください。それをお願いします。
(質問不明)投資先をどのように考えるか。
ガジェットというか電化製品というかラップトップ、スマホ、ゲームコンソル、その辺は当分厳しい環境が続くと思う。
新型コロナでリモートワーク、在宅勤務が余儀なくされてその時にものすごく将来までの需要の先食いが起きた。だからアマゾンの売上高も絶好調だったし、アップルの売上高も絶好調だったし、マイクロソフトの売上高も絶好調だったし、あらゆるSaaS関連の銘柄の売上高も絶好調だった。
それは過去の事。もういま、新型コロナで外出規制とか、水際対策とかそんなこと言っている国は世界で中国と日本くらい。
普段街で歩いているときは皆マスクをしていない。コロナという材料は終わった。今終わったばかりの材料に投資するのは非常に良くない。投資は次、次を目指して常にシフトしていくもの。それがセクターローテーションという物色の矛先の変遷を駆動している。
そうなのであればバックミラーを見ながら機能のストーリーをいつまでもつついていても全然よくない。
気持ちを入れ替えて新しいものにチャレンジしていかないといけないと思う。
僕も1988年から30年以上アメリカ株をやっているが、振り返って自分がやってきたことを考えた場合常に自分の知識のリフレッシュというか未知のもの、新しいものへの挑戦の連続だったと思う。例えば1988年にアメリカに来て、89年にベルリンの壁崩壊というイベントがあった。
いままで共産圏という形で謎のベールに包まれていたソ連圏が自由市場に組み込まれる可能性が出てきた。そのときに共産圏と言ったってそこで何が起こっているか全然知らなかった。だから大急ぎでポーランド経済とかを勉強しないといけなかった。
それは新しいもの。
あるいは1991年くらいからラテンアメリカブームが来た。アメリカが不景気でアメリカ株の商いがあまり活発ではなく、何か新しいことをやらなければならない、とメキシコ株とかそういったものがブームになった。
実際1992年~1994年、1995年くらいまではニューヨーク証券取引所の出来高No1はテルメックスという銘柄だった。そのくらいメキシコブームがあった。
しかし今は全然跡形もなく消えている。
その時その時によって投資家が魅了される投資ストーリーはどんどん変わっている。
流行が変わっていくことに合わせて、自分も変わっていかないといけない。それが最も安全なやり方。流れに竿を指して自分だけ違う方向に行くのはいばらの道。
僕だったら今の流行の時流に合致した投資を考えたいと思う。
半導体セクター
あまり感心しない。過去2年間くらいで半導体セクターに起こったことはアメリカと中国の競争により、中国は独自の生産キャパシティを持ち、アメリカは極東に依存しない半導体工場を作る必要があった。
中国でもアメリカでも新規の工場がスタートし、重複する投資が行われていた。
これは世界を一つに見た視点からすれば非常に無駄。この無駄な投資がある時点で跳ね返ってきて、半導体の生産キャパシティは大幅に余る、そういう局面が来ると思う。
それはもうすぐ近くまで来ているかもしれない。
その場合、向こう2年3年にもわたる半導体不況が起こるリスクがあると思う。
実際半導体セクターはアップ&ダウンのサイクルを経験してきた。大きなアップサイクルは終わったと考えるべきだと思う。
COST コストコ
非常によく経営された会社。質実剛健。ワシントン州カークランド本社。何度か訪問したことがあるがそのたびごとに、しっかりした経営だという感想を持った。
ひょっとしたら現在の物色の流れからは外れているかもしれない、旬な対象ではないかもしれないが堅実経営されている企業には違いありません。
TUR iShares MSCI Turkey ETF
面白いと思う。
トルコという国は非常に金利政策が保守的でない。だからトルコリラが暴落していて、あまり投資対象としてよくない国というイメージが強い。それはその通りなんだけど、そして例えばエルドアン大統領が中央銀王の采配にいろいろ口出しをしてちょっかいを出してインフレを放任するような政策を強いる、それは非常に良くないことだと僕は思う。
それを断ったうえでマクロの環境としてはこれからトルコに追い風が吹くのではないかと思っている。
理由1 今回の戦争でロシアの人にも国外に出ないといけない人がいる。それはプーチン政権に批判的なことをSNSなどで発言し、警察に目をつけられている若者はトルコやジョージアに出国している。
それが数千人単位の若者になっている。一つの大きな行き先がトルコ。
ジョージアはお金のない若者が避難する先として人気だが、トルコはお金持ちのロシア人、オリガルヒの様な金持ちが避難する避難先として好まれる。
ということでトルコのイスタンブールとかの不動産取引の70%くらいがロシア人による買いだと言われている。
つまり外貨がものすごくトルコになだれ込んでいる。
トルコ経済は近年凄く経済の体質改善と言うと語弊があるかもしれないが、経済の在り方が激変した国。
一つは自動車周辺産業みたいな製造業がここ10年くらいでものすごく伸びた。加えてものメチャクチャ伸びたのが観光業。国際空港も新しくした。トルコ航空も新しい機体をたくさん購入した。国を挙げて観光業のテコ入れをした。
その矢先で新型コロナが発生した。それで観光業が大打撃を受けた。そして今それが復活しようとして来ているときにロシアから大量の人たちが避難してきた。
だからV字型にトルコの観光業が復活する可能性がある。そういった意味においてトルコのETFもあるいは面白いかもしれないと思っています。
RPRX ロイヤリティファーマ
ホールドでいいと思います。
BG ブンゲ
ブンゲも今は良いと思う。
CFR カレンフロストバンカーズ
今は長短金利差が凄くフラットになっているので、銀行は長短金利差の純金利マージンで食っていることが多いので、今は少し厳しい局面。
他のすべての銀行株にいえると思う。
あと1週間くらいで第1四半期の決算発表シーズンに突入、最初は銀行株の決算からスタートすると思うがかなり今回の決算は厳しくなりそう。
商業銀行部門。通常の預金を集めて、貸し付けに回して金利差で食っていく伝統的な銀行業もきついと思うし、加えてメガバンクの投資銀行部門も今年はド不況。ものすごく厳しいと思う。
今回の決算発表シーズンは厳しい銀行の決算から入っていくのでちょっと皆出ばなをくじかれるというか、ショックを受けるリスクも実はあると思います。
AA アルコア
アルコアもいいと思います。実はアルミニウムはロシアの主要な輸出品目の一つ。そしてボイコットの対象になっている。
ロシア産アルミがなくなった分アルコアとかも恩恵を被ると思います。
再生エネルギー関係、BE ブルームエナジー、ENPH エンフェーズエナジー
そこらへんもいいと思うが、エンフェーズに関して言えば民主党が用意していた大きなグリーン法案が実現しなかった。あの時点でストーリーが崩れたというか面白くなくなった面はある。
ちょっと今の物色からは外れているかもしれない。
エネルギー銘柄とリセッションの関係
関係あると思う。リセッションになったらエネルギー株も売られると思う。しかしそれはいまではないということ。長短金利差がゼロになって、それはリセッション到来のシグナルに他ならないが、ぜろになってから1年後、もしくは2年後に実際のリセッションが来るので、その最初の部分はやっぱりエネルギーがアウトパフォームすると思う。
向こう1年間くらいはエネルギーセクターに投資していた方がハイテクよりははるかにいいかもしれない。
なので、タイミングをよーく見極めながら、今はまだエネルギーで取れるならエネルギーで取っておいた方がいいと思います。
どんだけ原油価格が上がっても石油株はもう上がらないという局面がゆくゆくは来ると思いますが、それは今日ではないということ。
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