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九条の大罪 第56審 あらすじ ネタバレ注意
体操マットで行為が始まる。それを馬の被り物の中から眺める数馬。
拘置所の接見後に「立石で飲む麦焼酎は五臓六腑に沁みる」という九条に、気の無い相づちを打つ烏丸。伏見の接見に行ったことを、忠告を無視しましたね、と言う。
九条は自分が引き受けないと公正な弁護を受けられないじゃないかというが、公正な弁護って何ですか、と聞き返す烏丸。
九条は相容れない話、とこれを流す。
烏丸は単純に九条を心配している、と言いもう付き合い切れない、と続け去っていく。
数馬は起業したようだ。
脱毛サロンの動画の編集の指示を出したり、インフルエンサーを紹介したりとあれこれ電話している。
同居するサパーの同僚の男に「草コイン」で勝ったのが元手と言っている。
草コインで爆勝ちした男を壬生から紹介され、指示にしたがって大儲けをしたらしい。それを元手に原価のかからないネットビジネスを初めたようだ。
順調な様子を壬生のガレージで報告する数馬。壬生の指示に従い、会社を上場させたのち、売却して儲けようとしているようだ。
参加した「金持ち」の会が下品すぎた、という数馬に、「奪っちゃいけないものを金で買う守銭奴と売っちゃいけないものを売る馬鹿女」を相手にするなと言う壬生。
顧客からの依頼の電話を切る九条。いつもの癖で烏丸の意見を聞くが、いつも通り散らかった事務所のいつもの席には誰も座っていない。
続く
九条の大罪 第56審 感想
前回数馬のとったリスクについて考え、壬生もかかわっているので「命にかかわるような」リスクなのでは、と思ったが、今のところ仮想通貨で一発儲ける、ということでリスクを取ったようだ。
具体的にはようやく貯めた100万円を10分割し仮想通貨にフルベットした、ということらしい。
個人的には大したリスクではないように思える。というのも草コイン含む仮想通貨は普通に売買する分には購入したお金がマイナスになることは無いためだ。
もちろん数馬の行った取引はもっとリスクをとったものだったのかもしれないが、今回の話を読む限り、数馬は
①100万円が激減する(限りなくゼロになるような)リスクを負って、
②計1,200万円(10等分して買った草コインの一つが90倍+その他90万円で買った90種のキャピタルゲインが90万+210万円になった)という成果
を得ている。
私はあまり仮想通貨や草コインについては詳しくないが、短期投資としては異常な成果である。
よって、何か裏があるように思えてしまう。
投資の世界では人のアドバイスに耳を傾けるな、的な助言もある。そういった中で、なぜもともとは赤の他人の「草コインで爆勝ち」男が、必勝法を数馬に与えるのか。
高い勝率ならば自分がさらに勢いよく借金をして資産を運用したりすればいいのではないか。
あるいは壬生も同じように草コインを買っていないのか(これは憶測だが)は疑問だ。
もちろん、100万円を失うリスクがあったことは確かだが、そんなに都合よく勝てるものか、というのが最大の疑問である。
つまり、ここまでは壬生の描いた絵である可能性が高く、草コインは夢のある投資かもしれないが、壬生の勧めたことは「パチンコ」とか「競馬」とかで増やせ、ということと確率論的にあまり変わらないことを言っているように思える。
さすがにそれだと未熟な数馬にも胡散臭く思われることから敢えてちょっとオシャレな雰囲気があり、数馬の知らない世界の「草コイン」でのもうけ話を捏造したのではないかと思う。
壬生は数馬にリスク覚悟なら稼げる、と言った。
表向きの意味では今回の100万円の喪失リスクであり、真の意味ではまだ数馬の把握していない重大なリスクを背負う過程にいるのではないか、と思われる。
犯罪歴のない人間を使いたい、と言っていたことからどうも前科があると出来なさそうな
「上場➡会社の売却」プランの中に今回の数馬を使った壬生の仕掛けが含まれていそうだが、例えば会社を高値で売り抜けたものの、会社の中身がメチャクチャで、後でとんでもない罪を着せられる、とかそんなことなのかもしれない。
ちょっと皮肉なのが、数馬は金持ちの大人の運動会を見下している。
それはそれで当然、常識的なのかもしれない。ただ、自身の稼ぎ方もいわゆるもともとの「俳優」のように労働から対価を得るのではなく、「金持ち」っぽく投資をしたり、人を動かしたり、実体のないものを売ったりすることに代わってきている。
サパーで大量飲酒で稼いだお金とは違う。そしてそれは千歌の裏の顔である、人を使って稼ぐ、ということと一致している。
もちろん労働で稼ぐことには限界があるので人を使うことは悪いことではないが、今回の数馬は間違いなく別の世界、別の価値観に足を踏み入れ、同居人とは分かり合えない立場になったといえる。
そんな数馬をよーく理解する壬生はまた、数馬が金持ちに持つ「嫌悪感」に同調することで、数馬の立ち位置を明らかにし、同時に自身への崇拝をゆるぎないものとしているように見える。
九条の大罪 第57審以降の展開は?
烏丸が去ってしまった。
汚い事務所も人がいないと逆に寂しい感じがする。
烏丸ラスボス説を感じさせる描写が過去にあった。九条の大罪が第何審まで続くのかはわからないが、ウシジマくんも長く連載したし、壬生と京極の今後以前に菅原さんすら復活しているところを見ると、まだまだ展開は多そうで、連載の序盤のように思える。
仮に烏丸がラスボスだとしても、果たして序盤に事務所を去ってしまい、最終版に出てくるとか、今後はやや敵対的な立場にいる弁護士になってしまうとかだとちょっとあっさりしすぎている気もする。
ただ、こうやって書いていると、序盤に主人公と別れた仲間が敵キャラとなり、ラスボスになる、というような漫画を私自身見たことがないので、そんな展開であっても面白そうだ。
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