インスタカートは食品に特化したオンラインマーケットプレイスを提供する会社です。IPO目論見書S-1をまとめました。
本記事は情報の整理を目的としており、投資・その他の行動を勧誘する目的で作成したものではございません。投資の判断はご自身の意思と決定でお願いします。本記事の内容は主にIPO目論見書S-1をもとに作成していますが、翻訳における誤りや、具体的解釈の内容についての保証は致しかねます。
インスタカート ティッカー:CART IPO目論見書 S-1まとめ
- 食品に特化したオンラインマーケットプレイスを提供
- 米国の1,400の小売業に対しパートナーとなっている。これは米国食品売上の85%に相当
- 食料品のオンライン購買比率は他業種と比べ低い
- 小売業がオンラインマーケットプレイスを展開し、在庫管理や価格設定なども助けるインスタカートエンタープライズプラットフォームの提供や広告も収益源
日本での取り扱い証券会社:SBI証券
SBI証券(9/20~取扱)
楽天証券(確認中)
マネックス証券(確認中)
DMM 株 (DMMドットコム証券)(確認中)
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必ずしもすべての証券会社が気になる銘柄を取り扱うわけでは無いです。複数の口座を持っておくことで、心配は減ります。
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上場予定日はいつ?株価は? CARTのIPO価格:25~27ドル➡28~30ドル➡30ドル 上場初値:41.76ドル 上場市場:NASDAQ 上場日:2023年9月20日
IPO価格は25~27ドル➡28~30ドル➡30ドルで値決めです。
上場初値は41.76ドルで、終値は33.80ドルでした。
引受幹事企業:ゴールドマンサックス、JPモルガン
経営者:フィシモジ・シモ
フィジ・シモ
- 2021年12月より社長、2021年8月より当社最高経営責任者、2021年1月より取締役を務めています。
- 2011年1月から2021年8月まで、ソーシャル・ネットワーキング企業であるMeta Platforms,(旧Facebook)で勤務、2019年3月からはFacebookアプリの責任者として6,000人のチームを率い、Metaの主力製品であるFacebookの開発責任者を務めました。
- 2007年1月から2011年1月まで、eコマース企業のイーベイ社で戦略マネージャーを務めました。
- 現在、eコマースプラットフォームShopify Inc.の取締役を務めていまする。
- 大手テクノロジー企業の上級管理職として製品に関する深い専門知識を有していることから、の取締役に選出されました。
売上・利益
注文件数:2022年2億6,260万件(前年+16%)、23年1月~6月で1億3,290万件(前年+0.45%)でした。
GTV:2022年288億2,600万ドル、(前年+16%)、23年1月~6月で149億3,700万ドル(前年+4%)でした。
売上高:2022年25億5,100万ドル、(前年+39%)、23年1月~6月で14億7,500万ドル(前年+31%)でした。
トランザクション売上高:2022年18億1,100万ドル、(前年+44%、売上高の71%)、23年1~6月で10億6,900万ドル(前年+34%、売上高の72%)
広告その他売上高:2022年7億4,000万ドル(前年+29%、売上高の29%)、23年1~6月で4億600万ドル(前年+24%、売上高の28%)
粗利:2022年18億3,100万ドル、(前年+49%)、23年1~6月で11億900万ドル(前年+44%)
何をしている会社?
- インスタカートは大手から地域の小売業まで、米国の1,400の小売業に対し、オンラインショッピングを提供しています。これは米国の食品売上の85%以上に相当します。
- インスタカートを使用し一人当たり平均、月間317ドルを消費する770万人のアクティブ注文者と小売業をつないでいます。
- 小売業者はインスタカートのウェブサイトやアプリを使用、もしくはインスタカートエンタープライズプラットフォームを利用し、自社で運営するオンライン販売を通じてオンラインショッピングの提供ができます。
市場・機会
・オフラインの食料品売り上げが2018年→2022年でCAGR1%成長なのに対し、オンラインでの食料品売上はCAGR50%成長。さらにインスタカートのCAGRは80%成長しています
・生鮮食品は北米の食品売上の16%を占めており、その在庫管理と廃棄ロスの削減は小売業にとって不可欠です
・2022年、1兆1,000億ドルのアメリカの食品市場ですが、オンラインでの購買は他のカテゴリーより少なく、売り上げのわずか12%がオンライン購買です。家電の66%、アパレルの38%、消費者向けフードサービス(カフェ・バー、レストラン、ファストフードなど)の23%、家庭用品の20%と比較し、オンライン比率が低いです。
商品・サービス
インスタカートは生鮮食料品に特化したマーケットプレイスですが、例えば楽天市場やアマゾンのようなサイトが主力となっています。
さらにテクノロジーで小売業の在庫管理などの各種支援を行うのがインスタカート・エンタープライズ・プラットフォーム。
そして、インスタカートのサイト内や各企業のウェブページに広告があって、そこでシリアルやソースなどのパッケージフードの広告を打ち、それに対しメーカーがお金を払いインスタカートや参加する小売業が収益を得る、というようなモデルです。
・インスタカート・マーケットプレイス
アプリやウェブを通じたオンラインマーケットプレイスを提供しています。
顧客(消費者)に最短30分~翌日に商品を届けます。
インスタカート+に登録すると配送料の免除などの特典があります。インスタカート+登録メンバーは通常メンバーに比べ多くの買い物をしており、平均で6.2倍のGTVを生んでいます。2023年6月末時点で510万人のインスタカート+メンバーが登録されています。
・インスタカート・エンタープライズ・プラットフォーム
eコマース、フルフィルメント、コネクテッド・ストア、広告・マーケティング、インサイトを網羅するエンタープライズグレードのテクノロジー・スイートを小売業者に提供しています。
Eversight事業などを通じて、小売業者がオンライン価格設定やプロモーション戦略を最適化できるようなツールや製品を提供しています。
・Instacart広告
CPGブランド(≒パッケージ商品を販売する企業)に対して、インスタカートマーケットプレイスや、小売業のウェブサイト内でバナー広告を打つことで顧客獲得を促進する提案をしています。
食品業界向けにカスタムされた広告効果は平均して+15パーセントの売上アップ効果があり、場合によっては2倍の効果を示します。
スポンサープロダクト広告の場合はクリックが発生した時点で、ディスプレイ広告は固定料金で契約期間に応じて料金が発生、請求の30日~90日後が支払期限になります。
顧客
・小売業
インスタカートの小売パートナーには、アルディ、コストコ、クローガーなどの全国的リーダー、パブリックスやウェグマンズなどの地域の人気店、モリー・ストーンズ・マーケッツのような地元の主力店、ベストバイ、ロウズ、セフォラ、ウォルグリーンのような多くの特定のユースケースを提供する小売店などが含まれます。上位20社の小売パートナーの売上高は、2018年の0.6%から2022年には5.0%になると予測しています。
・消費者
毎月770万人のアクティブな注文者がお気に入りの小売店で買い物をし、品揃え、品質、価値、利便性を享受できるよう支援しています。
北米の95%以上の世帯にリーチしています。当社の会員プログラムであるInstacart+は、510万人の会員に、一定サイズ以上の注文の無制限無料配達、サービス料金の割引、対象となるピックアップ注文のクレジットバック、限定特典など、拡大した顧客特典を提供しています。
競合:アマゾン、スライブマーケットや各小売業の手がけるマーケットプレイス、エンタープライズソフトウェア企業など多数
マーケットプレイス以外にも事業が幅広く、競合が多いです。一言でいうとインスタカートを使用せずとも他社のマーケットプレイスを使用したり自社サイトや他の企業を通じて物流や在庫の管理を依頼しコストダウンをしたり、メーカーがほかの方法で広告投下を試みることは可能。と言うことになります。
インスタカートマーケットプレイスの競合
・アマゾンやスライブ・マーケットなど、デジタル・ファースト・プラットフォームを含む、既存で定評のあるオンライン食料品店や代替ショッピング業者
・ターゲットにやウォルマートなど、独自のデジタルおよびフルフィルメント・サービスを提供する実店舗型小売業者
・ドアダッシュ、シプト(ターゲットが買収)、ウーバーイーツなど、オンライン・オフラインを問わず、小売業者を含む第三者にeコマースやフルフィルメントサービスを提供する企業
・DashMart(DoorDashが所有)、Fresh Direct、Getir、Gopuffなど。Instacartの既存小売業者が含まれる可能性があり、最終的にはインスタカートと提携する必要がなくなるか、Instacart Marketplaceの利用が制限される可能性がある。
・Drizly(Uberが買収)など、アルコール飲料や処方箋の配達など、個別のカテゴリーに特化したeコマースやフルフィルメントサービスを提供する企業
・Blue ApronやMisfits Marketなど、消費者に直接食材や食事を提供する企業。
インスタカート・エンタープライズ・プラットフォームの競合
・オンライン食料品エンタープライズサービス業界に特化した企業や大規模なエンタープライズソフトウェア企業
・Ocadoのような食料品小売業者が所有および運営するサービスをサポートするマイクロフルフィルメントまたは自動倉庫プロバイダー
・独自のエンタープライズeコマースシステムを開発する、または将来開発する可能性のあるInstacartの既存および潜在的な小売業者。
インスタカート広告の競合
・CitrusAd(Publicis Groupeが買収)、Criteo、Quotientなど、小売業者が消費者向けに提供するデジタル商品の収益化を支援するサードパーティプラットフォーム
・Amazon、Target、Walmartなど、小売業者が所有・運営するドメインでCPGブランドにオンライン広告の機会を提供するソリューション
・小売業者を含む第三者にeコマースやフルフィルメントサービスを提供し、DoorDashやUber Eatsなどの広告商品を現在提供しているか、将来提供する可能性のある企業
・ Amazon、Google、Meta、Snapなどが提供する、食料品業界に特に限定されない確立されたオンライン広告商品を提供する企業。
リスク要因 Risk factor
リスク要因にはいろいろなことが書かれていますが、個人的に気になった点をいくつか記載します。
リスク要因①多数の競合
前項競合、について記載しましたが多数の競合があります。
価格設定に関してもより組み合わせ販売などで低価格なサービスでのサブスクリプションを提供している企業も存在します。
リスク要因②季節性 第4四半期に広告収入が高くなる。第2、第3四半期はマーケットプレイスの利用が少なくなる。
季節性があります。
通常、第2四半期と第3四半期の一部では、春から夏にかけての当社の商品の利用が減少するため、注文件数の伸びが低くなり、その後、下半期に学校帰りやホリデーシーズンに注文件数が増加します。
また、天候不順の時期には、一般的に利用可能な買物客の数が減少する一方で、顧客からの注文数が増加する可能性があるため、典型的な季節的傾向が乱れたり不明瞭になったりし、季節変動の検出が困難になる可能性があります。
さらに、当社の広告収入およびその他の収入は、広告主の予算配分の結果、第4四半期に季節的に高くなり、第1四半期に季節的に低くなるのが通例です。
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