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九条の大罪 第109審 あらすじ ネタバレ注意
白栖正孝の手術に医療ミスはないという九条
白栖正孝は緊急手術だったため手術前の説明が不十分であったことが今回の訴訟につながったと捉えているが、九条はそれを否定し、むしろ術後の説明に問題があったという
白栖正孝の説明が機械的であったことが問題だという九条
相手が欲しいのは専門的な説明でなく、人のために尽くしたと感じられることだと説明する
示談の前に少しだけでもいい人に見えるよう練習をしよう、白栖正孝にいう九条
1年後の白栖総合病院
看護師たちが院内でランチをしながら噂話をしている
正孝の対応が変わり、丁寧になったというものだ
正孝の嫁も日傘付きの自転車をインスタに乗せたり、ずいぶん庶民的に変わっているようだ
一方、次男の幸孝と幸孝の嫁の早苗は幹細胞治療エクソソームに特化した美容外科で大儲け、夫婦で整形を繰り返しているようだ
若い看護師二人が出かけ虎ノ門横丁で男をあさりに行くようだ
一人の看護師は正孝とセアポがあったと言い、正孝の魅力は手術に失敗すると子供のよう泣くことという
患者を思って泣いているのではなく、失敗した自分に泣いているという
もう一つ、寝たきりで意識のない患者の前とはいえ、抗がん剤による延命治療はしたくないというエピソードを怖いこと、として挙げる
延命治療を始めると苦しんでも死ねなくなり、死ねない法律を恨むことになる、という
九条の家の屋上
烏丸と九条、白栖正孝がいるが九条はワインを飲むのに栓抜きがないのでいったんその場を離れ、白栖正孝と烏丸が屋上に残る
白栖正孝に、なぜ九条に仕事を依頼したのか、と烏丸が尋ねる
白栖正孝は他人の感情がわからないことを言い、それが今回の問題につながったという
白栖正孝と九条は同じ悩みを抱えているから通じ合えたのでは?と烏丸が言う
そんな自分でも第1審の森田の起こした交通事故で少年が足を失い、かつ1000万円の示談という安い解決になってしまったことを見て九条を悪魔に思えた、という正孝
しかし、第1審の話には続きがあり、九条が動くと利益相反になるためNPO法人の代表、薬師前が家族を支え、別途流木が弁護士に立ち、1000万円の妥結を7000万円に引き上げた という
九条のいいところはおせっかいなところで悪いところはおせっかいすぎるところ、という烏丸
栓抜きを持って帰ってきた九条が悪口を言ってましたか?と烏丸に問うと、そんな感じです、と烏丸も返す
バカ高いワインを乾杯しましょうか、という九条
九条の大罪 第109審 感想
いい話である
いい話であった
これまで九条は自身の感情を抑えて依頼者の立場に立ち、それでもできる範囲のことをする、と私は理解していた
それはそうなのであるが、そのうえで九条はなんと足を失った一家が無知ゆえに本来は得られたであろうお金を得られなかったことに対し、薬師前や流木の協力を仰ぎ、おせっかいを焼いて被害者は正当なお金を得るための手助けをしたのである
森田があまり反省できていないことは引き続き残念で、少年の足が切断されたことも残念だが、被害者家族がお金もまともにもらえないという踏んだり蹴ったりの被害は避けていたのである
「おせっかいすぎる」というか「しごでき」すぎるといえる
私を含めて第1審を見て暗ーい気持ちになった多くの人も少しは良かったと思える内容だったかと思う
では、この九条は少年が可愛そうだったから、とかお母さんが可愛そうだったから、とかそういう理由でおせっかいをしたのか、というとどうもそうでもないのではないか。
九条と正孝は同じ悩みを持っている、と烏丸は言っていた。つまり九条も烏丸も人の気持ちがスッとわかるような人ではないのである
人の気持ちがわからないはずの九条は、正孝の機械的な説明が問題であると伝え、良い人そうに見えるように練習を促している
いまだに九条も正孝もいわゆる人の気持ちがわかるいい人、ではないのだ
しかし、九条も正孝も仕事に熱心な人間である
相手の気持ちがわからないことと、相手の気持ちがわからない自分に気づけないことは少し違う
わからない自分を理解し、悩み、それでいてわからない自分は変えられないながら顧客の満足度を上げるために考えているのが九条や1年後の正孝なのである
厳密には九条の場合は脚を切断した少年とその親は顧客ではないので、顧客という表現は不適切で「関わった人」と置き換えたほうがいいのかもしれないが、とにかく人の気持ちがわからない自分を理解して、そのうえでアウトプットを変える工夫をした過去が九条にはあるから、そのアドバイスは有効で、事実周りの看護師たちが正孝は変わったと捉えているのだ。
だから九条の言うところのいい人に見える練習の効果は出ている。
正孝に距離の近い看護師は正孝が本質的には患者の感情に寄り添っているわけではなく、自分の手術の出来不出来だけが正孝の感情を強く揺さぶる、ということに気づいている
でもそれは特定の看護師にしか気づけない深い理解であって、正孝は「いい人っぽい人」へのステップを少しずつ踏み始めているようだ
人の根っこは変わらないが行動を変えることで身の回りが変わり、世界が変わる、そんなところが描かれた話だったのかと思う
九条の大罪 第110審以降の展開は?
最初にこの話を見たとき、九条は実は自分で善悪の判断をしていて、被害者家族を救った、という風に読み取ってしまった
そうなのであれば、白い男と九条はバッチリ合いそうであるが、九条は基本的には仕事をこなしているだけ、というような見方もでき、九条が信念のない男なのであれば白い男とは合わなさそうである と感じている
九条のおせっかいがなぜ発動しているのか、ということが私には良くわからなかったが、素直に九条も口、やり方としては依頼者ファーストを貫きつつも、他の人が苦しむ状況を極小化したい。だからおせっかいにも池尾を守ったり、流木を紹介したり、というような善意を働かせている、と捉えてよいのかもしれない
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