弁護士とは人権を守るもの。
人に尽くすのが弁護士の使命。
だが・・・・・・・・・ビックコミックブロス 九条の大罪 1話 より引用 https://bigcomicbros.net/work/35215/
いい弁護士は性格が悪い。
ビックコミックスピリッツ連載 真鍋昌平 2020新作 九条の大罪 1話 感想 &あらすじ ネタバレあり
映画にもなった「闇金ウシジマくん」で人気の真鍋昌平先生の新作が10月~スピリッツに連載されている。
「闇金ウシジマくん」が面白過ぎたのでちょっと(激しく)期待している。少なくとも1話を見た感じだと私はスピリッツ&単行本を買わないと居られない日々が続きそうである笑
第1話(第1審) 主な登場人物
九条 間人(くじょう たいざ) 弁護士
烏丸 真司(からすま しんじ)九条の事務所のイソベン(=居候弁護士。弁護士事務所に雇われている弁護士のこと)
壬生 憲剛(みぶ けんご)自動車整備会社社長・コワモテ
森田 ひき逃げ犯
郷田 ヤクザ風の男
ビックコミックスピリッツ連載 真鍋昌平 2020新作 九条の大罪 1話 内容について感想
真鍋先生の作品は見所がメチャクチャあると思っているが、前作の「闇金ウシジマくん」ファンから見たポイントである「登場人物」「リアリティ」「知識」「セリフ・言い回し」などに注目している。
登場人物:主人公「弁護士」 九条 間人について
まず主人公。花粉症持ちなのか途中からブリーズライトをしていてどこかマイペースなかんじがするものの、腕のいい弁護士のようだ。冒頭の通りであれば性格が悪いというのは九条のことを指すと見るのが普通だ。また、締めのページで言っているように「思考心情がない」ことを弁護士の定義としているようである。
「ウシジマくん」にもよくあった「勧善懲悪ではない」ストーリーがこれからも続くのではないかと、そしてスピリッツを買うたびにまたあの少し陰鬱な気持ちを味わえるのではないかと期待させられるような第1話にして主人公である。
お金にならない加害者の弁護が多いようで、このあたりはお金を集めていたウシジマくんとことなる。九条のプライベートやら何やらもこれから徐々に明らかになっていくのか。楽しみである。
個人的には途中で「日本一のたこ焼き」について烏丸とのやり取りが気になる。
「日本一」の看板を掲げるたこ焼き屋に対し、
何をもって日本一かがわからない無根拠な定義づけを「気持ち悪い」とする烏丸の態度は我々が想像する「いかにも弁護士的な」感じである。
一方九条は「味がついてこなければ自然と淘汰される」とし、定義づけは暗黙の了解であると考えている。
法の解釈やものごとの定義は常に存在し、整理されているべきと考えているであろう烏丸に対し、九条は解釈や定義というものは最初から存在するモノではなく、自然と決定されるもの、あるいは何らかの結果が先に来て解釈や定義というのは後からついてくるモノだ。と言っているように聞こえる。
「リアリティ」脇役たちに見る生々しいまでの人の心
恐らく今回限りの登場なのではないかと思わる「森田」であるが、すでに1話目から相当なクズっぷりを発揮しており、心地よいほど不快である。
しかしながら、重大なことをやらかしてしまった後の「何とか助かりたい!」という気持ちはメチャクチャ素直&リアルに描かれており、これらの胸糞の悪い名脇役たちが物語をよりスパイシーにしてくれるのではと
あとは、輩系の人たちも健在そうである。ウシジマくんでは主人公のウシジマと類似的であり対比的に書かれていたヤクザ「滑皮」や暴力と狂気のかたまり「肉蝮」、現代風で知的かつ残虐な半グレ兄弟の「獅子谷兄弟」といった魅力的なキャラクターがわんさかいたが、本作も「壬生」や「郷田」あたりの怪しげな人間たちがどのような個性を発揮してくるのか楽しみである。
知識:今回は弁護士・法律がテーマ
交番に落としものを届けた人は多くても、「法律」・「裁判」・「弁護士」・「警察」というものについてリアルに触れたことがある人は少ないと想像する。もちろん法律は皆意識して守っている前提だが、誰に言われて守ったのかというと実はほとんどが「親」や「小学校の先生」の教えによる倫理観ベースによる行動基準があるにすぎず、「法学部」であったり「経営者」などでない限り網羅的に法を覚えることなどないのではないかと思う。
いやいや、社会人なら法律くらい一通りは・・・と思うかもしれないが、おおよそ自分の業界にかかわる法律については学んだとしても他の分野については学ぶ機会はほとんどないんじゃないだろうか。
これはウシジマくんの一つのテーマでもあった「お金」についても同じで、とても身近にあるのに不思議と教えられたことのない事、という意味で勉強にもなるとおもう。
セリフ:ちょっと面白い言い回し
真鍋先生の作品にはちょっと面白い言い回しがある。これからどんな名言が飛び出るか楽しみである
今回は単語レベルだが
”パイ”=証拠不十分
とかは業界用語っぽい。
ほか:ネーミングは京都をテーマ?
九条・烏丸・壬生・・・このあたりの苗字は京都府に関連する地名だ。前回ウシジマくんではちょっとダークなキャラクターに動物の名前(丑、鳩、熊、獅子・・・)が入っていた。
で、主人公の親友の「戌亥」というキャラクターは動物、しかも干支が入っていたのであるが、
今回の「九条 間人」というのはじつはどちらも京都府の地名だ。
九条=京都市 こちらは一条寺や二条城とか、四条畷とかある碁盤の目の通りの九条で、九条ネギとかもそうだ。京都になじみがない人も○○条と言ったら京都とわかる人も多いのではと思う。
内間というのは京丹後市の地名で、京丹後は天橋立とかその辺だったと思う。新幹線も通っておらず多くの人にとってあまりなじみのない京都の日本海側である。
九条 間人 はこのように地名×2と(くじょう九条の たいざ間人い=九条の大罪)というタイトルにもかかっているようだ。
「九条の大罪」はアプリ・インターネットで無料で読める?
現在は「ビッグコミックブロス」で無料で読めるようだ。
ビックコミックスピリッツ連載 真鍋昌平 2020新作 九条の大罪 1話あらすじ(ネタバレあり)
自転車を撥ねてしまったようだ。震える運転手の森田。友人らしき男性は「昼まで酒を飲んでいたらしいな」と指摘するもどこか緊張感に欠ける。
友人は森田を連れ、強面の壬生という男に車の修理を頼む。バンパーのへこみを見た壬生は原因がひき逃げであることを見抜く。オールバックで目つきの鋭い壬生は「自動車整備会社社長」のようだが何だか一般人には見えないちょっと怖そうなお兄さんだ。
続けて死亡事故のひき逃げでの検挙率は95%という具体的な数字や剥げた塗装、現場に防犯カメラがなかったとしても周囲のカメラに映りこんでいる姿がバレればアウトであると、収拾のつかない事態であることを淡々と述べる。
困った森田はどうしたらいいかを壬生に尋ねると、弁護士を紹介する。紹介された弁護士が、この漫画の主人公である九条間人(たいざ)弁護士のようだ。
九条の弁護士事務所は少し荒れている。汚いというよりモノが多い印象だ。電話で離婚裁判の相談をサラッと終え、事故の状況を詳しく聞く。口ごもる森田だがどうやら飲酒運転のうえスマホゲームのわき見が原因で人を引いてしまったらしい。
事務所のイソベン(居候弁護士)である烏丸真司はそんな森田を「クズ」という。パーカーを着ている森田は若そうではあるが、自分と同じくらい若い烏丸に見下され、少し不快そうだ。
そんな森田を察してか、あるいはまったく眼中になく仕事をしているのかもしれないが烏丸はゲームについて警察に供述は控えるべきだとアドバイスをする
九条も冷静に現状を分析する。危険運転致死可過失運転致死かで求刑が変わる。そして、冷酷に被害者は死んでいた方が良いとも発言する。死んでしまっていては供述が出来ないからだ。
他にも具体的なアドバイスをおこなう。いかにも的確そうである。
打合せを終え警察の事情聴取はうまく行ったようだ。同時に被害者が2名であることが明かされる。子供を送る父親だそうだ。父親は死亡していた。だが死因が車の衝突ではなく心臓疾患による事故前の状況次第では裁判の結果が大きく変わるようだ。一方5歳の子供は命に別状はないようだが、左足を切断する必要があったようだ。
既に手術を終えたものの、術後の子供は点滴やら呼吸の補助やらいろいろと施され、治療室だか手術室だかの大きなベッドで横になっている。
そして、別の部屋では布に包まれ、ベッドに寝かせられた人。父親であろう。
廊下では嗚咽する母親。
そして、肝心の森田はすやすやと眠っている。
裁判は予想通り、残念な結末であり、森田は執行猶予付きの禁固刑、つまり刑務所に入らなくて済む比較的軽い刑で済んだようだ。
森田は刑務所に入らなくていいのか裁判官に尋ねるが、その口調はすでに自分の刑が軽いものであることによる安心感でいっぱいだ。軽く裁判官にも叱責される。
一方母親は鬼の形相である。
裁判所を出た森田に友人は「先輩がキャバクラと焼肉をおごってくれる」と伝えると、森田は嬉しそうにし、溜まったLINEの処理を始める。
母親は弁護士をつけなかったため、十分な知識がなく、保険会社にかなり安い値段での解決を提示され受けてしまったようだ。
この裁判はネットニュースになり世間では反感を買っているようだが、九条はひとこと
思考心情がないのが弁護士だ
ビックコミックブロス 九条の大罪 1話 より引用 https://spi.tameshiyo.me/KUJO01SPI/?page=55
というのである。
つづく
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