九条の大罪 第18審 家族の距離⑩ 感想

真鍋昌平 ビッグコミック 九条の大罪 漫画

大詰めに近づいている感じのある家族の距離編である。家守華恵の心の中が描かれ、さらに菅原が追い込まれる展開である。

コミックス2巻が5/28頃発売予定のようです。

1巻は好評発売中。

これまでの登場人物
  • 九条 間人(くじょう たいざ) 弁護士
  • 鞍馬蔵人(くらま くろうど)検事。九条の実兄
  • 烏丸 真司(からすま しんじ)九条の事務所のイソベン(=居候弁護士。弁護士事務所に雇われている弁護士のこと)
  • 壬生 憲剛(みぶ けんご)自動車整備会社社長・コワモテ
  • 流木 信輝(ながらき のぶてる)白髪の高齢の弁護士 九条の父と面識あり
  • 山城 祐蔵(やましろ ゆうぞう) 弁護士 九条の父と面識あり
  • 菅原 遼馬(すがわら りょうま) 介護施設輝幸代表 輩
  • 久我(こが) 菅原の部下
  • 家守華恵(いえもり はなえ) コンサルティング会社経営
  • 佐恵子 家守華恵の義理の妹
  • 金本 卓(かねもと すぐる)大柄な不良 力士を目指していたらしい 父がヤクザ
  • ミヨコ 金本の同居人
  • 曽我部 聡太(そがべ そうた) 配達員 壬生の後輩の下の人間らしい
  • 薬師前 仁美(やくしまえ ひとみ) ソーシャルワークつぼみ代表の女性。烏丸の知り合い
  • 宇田川 良子
  • 嵐山 (あらしやま) 刑事
  • 森田 ひき逃げ犯
  • 郷田 ヤクザ風の男

九条の大罪 第18審 あらすじ ネタバレ注意

電気ストーブに小便をする家守父。火事を心配しているようだ。ガムテープで耳に電話を固定している。

家守華恵は 目を伏せ心で 「お父さん」 と思っている

同じ部屋で、佐恵子という女性が遺品整理を手伝っている。家守華恵の義理の妹のようだ。先ほどのシーンは家守華恵の記憶のシーンのようだ。

生前贈与で2500万を受け取ったでしょという、佐恵子

介護に使いきった 

という家守華恵に

一番安い買い越し施設の輝幸ですませた

と指摘する。

介護にお金なんかかけずに、自分は贅沢をしていただろうと。

家守華恵は「四時間睡眠で頑張ってきた」というが聞く耳持たず大声で言い争う。

遺産をめぐって二人は揉めている。

佐恵子が去り、一人になる華恵。

遺品に残されたどんぐりと幼かった頃の父との記憶を思いだし涙する。

九条の住む屋上。

壬生は帰るようだ。

嵐山は部下の私物のカメラで監視していた。

部下はアイドル好きらしいが、そんな部下を時代の違う人間と思っているのだろうか、嵐山はかつてヤクザの組事務所でお茶を飲みながら情報収集していた、と自分を語る。

再び九条の屋上。

ドーベルマンは甘えん坊で人懐っこい。九条と一緒だ

という烏丸。

イメージは悪いがこんなに依頼人のために動く弁護士はいないと言う。

山城と争うことの心境を聞く烏丸。

依頼人の利益を優先しているだけ、考えが相反しただけ

という九条。

考えが相反したら、私と九条が争うことですよね

という烏丸

九条は視線をそらす

怖いこと言わない。と流す。

菅原から山城にLINE。

何度も続いた不在着信のあとに、YAZOOニュースの折れた肋骨にデコビンという記事。

つづく

九条の大罪 第18審 感想

何をもって善悪を判断するかは難しい問題として、家守華恵は父を思っている。ということが分かった。

家守華恵の本心。父を思う気持ちは本当だった。

第14審で家守華恵の心の中が描かれているように思えたが、強気にふるまう表の姿勢とは違い、父との思い出を懐かしく、寂しく思っている心が描かれていた。

認知症になった父に対し、なぜ「輝幸」という安い介護施設に入れたのか、そして全く面会しなかったのかについてはいまだよくわからないものの、一人になった家守華恵が思い起こす姿は、若くてイケメンっぽい父と木の根っこで寝そべる思い出であり、思い出の品はどんぐりであった。

どんぐりはその辺に転がっているものであり当然無価値に近いと思うが、遺品を整理する中で華恵の心に残るものは金目のものではなく、どんぐりであった・

これは父に対して無償の思い入れがあることに他ならず、家守華恵は苦しんでいたこと、親せきや九条に対して見せる強気の態度とは裏腹に父に対する思いや親せきに対する説明など、非常にめんどくさいことを背負っている、というのが普通の読みかたかと思う。

これで華恵が守銭奴のような人間であれば救いようもない感じがしたが、ひとまずは一般的な両親を持っている人間でありそうな描写であった。

烏丸ラスボス説。九条との会話について。

この物語のラスボス的存在は誰なのか気になっていたが、ウシジマくんのラスボス的存在は滑皮であった。

真鍋先生のインタビューで全く違うものを描きたい、ウシジマくんを書き続けることはできたが、違うことに挑戦したい。というようなものを見たことがあるが、滑皮が序盤に描かれ、かつラスボスであったと考えると、個人的なラスボス候補は壬生、烏丸、嵐山あたりであるが、今回の烏丸の

考えが相反したら、私と九条が争うことですよね

というセリフはどこかで回収されそうである。

ラスボスかどうかはわからないし、どういった事で対立=相反するかはわからないが烏丸と何か意見が違う場面は今後みられると思う。

今の段階では視野の広い九条が有利というか負けるイメージがないものの、それなりの激しさをもって争いそうな感じはする。

折れた肋骨にデコピンがニュースに。

感想の中で書き忘れたのでいつの話だったか明確ではないが、確か家守の父の肋骨を折って、そこにデコピンをしたときの辛い表情が面白い、ということを久我(こが)と一緒にいた輝幸の後輩が語っていたような記憶がある。

ニュースになるからには何らかの裏付けがあると思っている。

私は、今回の話で裏を突く、ということに関して胃ろうのおじさん、あるいは宇田川母による反撃を予想しているが、少なくともこのことを語る人間が輝幸サイドにいないと思うと、胃ろうおじさんあるいは宇田川母によるタレコミが濃厚なのではないかと思う。

というかひとつくらい予想が当たってほしいなと思っている。

九条の大罪 第19審 の展開は?

菅原の鬼ラインから、焦りを感じる。

裏を突く、と言った作戦がどういった範囲で行われているかは分からないが、明らかに対応に回っている山城サイドに勝ち目はないように思える。

周到そうな九条のすることなので完全に逃げ場を失い、文字通り家守華恵のニーズを100%満たすに近い決着と考えると、コストはかけても遺産は取り戻すということなのではないかと思っている。

ただあと1話、2話で終われるような中身でもなく、どういった顛末になるのかは楽しみである。

漫画雑記
スポンサーリンク
Tをフォローする

コメント