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九条の大罪 第25審 あらすじ ネタバレ注意
壬生が金融屋から抵当権つきで買い取って賃貸していた事故物件はヤクザ物件であると知っていたか尋ねる嵐山
債権回収は違法ではなく、競売物件の入札はヤクザでもできると九条
一般市民を自殺に追い込み、ヤクザの片棒を担いでいることを指摘する嵐山
裁判所の執行部で不動産業者に混じりヤクザが物件ファイルを見ている
規制をかけて資金源の撲滅が必要と言う嵐山
弁護士はヤクザにも人権があると言う考えだろうと言う付き人的なスーツの刑事に
「ヤクザにも半グレにも人権はない」と言う嵐山
「壬生を挙げたい=検挙したいようですね」と問う付き人に、
壬生は小物で伏見組の若頭、京極清志(せいし)の小間使いであると言う
派手なネックレスやトゲつきの靴を履き、歯のホワイトニングをする男。
彼が京極のようだ。
歯医者の治療台の上から電話で壬生を食事に誘っている
はい京極さん、と答えしばらく沈黙する壬生。
薬師前と烏丸、九条が路上で話している。
自殺した植田の息子と連絡が取れたという薬師前。
息子から処理をまかされたものの、淡々と遺骨・遺灰は廃棄物として捨てられないということを告げる九条に、薬師前はあんまりではないですか、と問いかける。
植田の自殺は防げたのではないかと。
強制執行で家を閉め出されたことや、半年以上の家賃の滞納などがあり、依頼者の立場からすれば当然のことで、手を尽くしたという九条だが、薬師前は不満げだ。
自殺は本人の問題と断じる九条に、本当に冷たい人ですね、と言い放つ薬師前。
薬師前が去った後、
殺人を捌くのは裁判官。自殺を捌くのは閻魔大王。仕事にはめいめいに役回りがあるんじゃないですか
小学館 ビックコミックスピリッツ 九条の大罪25審 より
という九条。
パフェを食べるはずだった烏丸はなぜか壬生と再び植田の家に来ている。
烏丸は有馬の一周忌から帰ったところで、壬生は遺骨と遺灰を警察に届けるために来たようだ。
烏丸に住民はどんな人だったか問われ、壬生の回想となる。
酒癖の悪い植田はスナックで罵声を浴びせ、暴れて警察沙汰になり、ギャンブルで謝金にまみれ、妻が亡くなり口の悪さと素行の悪さがひどくなり、友達も子供も離れ、孤独になった。
水道が止まり、電気が止まると本格的に辛くなり、自殺に至ったわけだが、自殺前の植田に後のことは任せろと声をかけているのは壬生である。
黙って死なせろよという植田。
つづく
九条の大罪 第25審 感想
明らかな強キャラ、京極の登場と同時に、植田の死には壬生が絡んでいるということが改めてはっきりと描写された。
新キャラ「京極 清志(せいし)」伏見組の若頭が登場 壬生は小物なのか
京極は伏見組の若頭である。
今回はホワイトニングをして、比較的やさしそうに壬生からの電話を受けていたが、当然とても恐ろしい人なんだろうと想像される。
嵐山は壬生のずる賢いところを不穏に思っているけれども、彼の本当のターゲットは壬生ではなく、京極であった。
壬生も果てしなく黒に近いグレーゾーンのひとには違いないが、気合の入った嵐山の狙いは大物である京極のようだ。
つまり、九条を嗅ぎまわっているのも、壬生を嗅ぎまわっているのも最終的に京極を逮捕するためなのだろうと想像できる。というかほぼそう言っている。
個人的には小物と言われた壬生は本当に小物なのだろうか。
以前壬生は丑嶋のようであり、滑皮のようであり、ファッションは獅子谷兄のようだというようなことを書いたが、今回の京極とのやり取りの表情からはおとなしく従っているという感じを受けない。
ウシジマくんにおいて丑嶋を弱いという人は読者側にはいないだろうが、何度も相手を油断させて手玉に取るようなシーンがあった。
壬生においても前回の家族の距離編では完全に菅原を手玉に取った形である。
嵐山には壬生は自身を極めて小さく見せるよう努めており、それに成功しているのではないか、と思われたのが今回である。
とりあえずほとんどの読者が想像した通り植田を自殺に追い込んだ関係者として壬生が存在することが明確に書かれ、笑顔で「おもち」と戯れる回想シーンが見たかった読者の期待は見事に裏切られた形である。
いっぽう京極についてはほぼ何もわからず、歯を白くすることにこだわっているという点や、服装などの見た目的にも美意識の強そうな、というか少なくともファッションに気を配らないタイプではないという風に見える。
彼が怒って豹変するような目に見えた恐怖をまとった人間なのか、したたかに物事を進めるタイプなのかはまだわからないが、インパクトのある登場からもすぐに逮捕なんてことはないのではないかと思う。
薬師前の再々登場、烏丸は有馬の1回忌
薬師前はこれで3度目の登場である。
前にも書いたがやはり巨乳であり、顔より胸が大きいのが気がかりである。
薬師前は一般的な良心を持っている人間であり、皆が当たり前に思う九条への違和感というか独特な九条の価値観を言語化する役割を持っている人間として書かれるのかもしれない。
家族の距離で家守華恵にかけた言葉、それに至るまでの観察からして、九条はむしろ優しさと無縁の人ではない。
いっぽうで仕事に対する線引きが依頼者次第で彼を非情な人間に見せてしまうのだろう。
仕事にはめいめいに役回りがあるんじゃないですか、という言葉は望むか望まざるかに関わらず仕事を進める九条らしい台詞である。
ソーシャルワークの代表の薬師前の役回りは社会的弱者への思いやりや傾聴ではないかと思う。薬師前はそれを全うしているように思えるので九条としても薬師前という人間や仕事ぶりを否定するわけでは無いが、一方で自身の考えを問われれば率直に答えている。というやりとりなのだろうか。
烏丸は「有馬の」とは書かれていないものの前回の流れからして間違いなく有馬の1回忌を終え、九条たちと会い、その後壬生と一緒に植田の家に行った、という時系列なのだろうか。
有能な烏丸にとっては大したことはないかもしれないがまあまあ忙しい一日に思える。
九条の大罪 第26審以降の展開は
話の着地点があまり見えてこない。
嵐山から京極までの距離感もかなりありそうだし、かといって今回壬生が致命的に追い込まれるような感じも全然しない。
植田の自殺時の心境もあらかた書かれており、全く次回以降の展開が読めず楽しみである。
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