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九条の大罪 第34審 あらすじ ネタバレ注意
雫のビデオが店頭に並んでいる。
雫花ぴえん(しずくぴえん)という名前でのデビューだ。
ビデオは馬鹿売れらしく、確かに宣伝費はかけたものの凄い売れ方をしていると粟生は雫に伝える。雫も元気にありがとうございますと、返事をしている。
消費の産物①で現れたもともとの雫の友達が地面に座っている。
会えないアイドルより、会いに行けるホストがいいとか、そういう話をしている。ストロング缶をストローで飲むのが彼女らの飲み方らしく、雫をパシリに使おうとする。雫は自分で行けば、と断る。
友達が噂していたNo1ホスト寿樹弥が現れる。雫ちゃんどうも!と話しかけ、二人は知り合いのようだ。
その様子を眺め、なに、この感じ。と置いてけぼり感を感じるような友人二人。
修斗のバーに行く雫。寿樹弥はいないようだ。常連の朝ドラが決まった俳優が雫に会いたがっているという修斗だが、雫は修斗がいれば他はいい。という。
雫が家を出て、とのくんは悶々としている。友人と思われる男性にコピー品の「ポレックス」の時計を正規の値段で買い取らせる、という手口を紹介している。買取店では50万円で売れるから、25万円売ってやる、というメチャクチャを言っている。
断られると怒りの根性焼きからスリーパーという暴力で八つ当たりをする。さらにスナックもツケを払わない傍若無人っぷりだ。
カネが得られず、無料動画で性欲を満たそうとすると、雫の動画を発見する。
九条は白石とビデオメーカー?のトゥールビヨンとの話を示談で済ませたようだ。ビデオメーカー側とすれば十分な落としどころだったようだ。
白石はもうAV業界には戻れない、ということをトゥールビヨンの小山は言っている。AVを上がった子は幸せになってほしいが、売れた子は戻ってくる、居場所があったその頃が良かったんでしょうね、という。
ホテルのバスタブには修斗と雫だ。前回はがっつり服を着ていたので分からなかったが、そういう関係のようだ。
いっぽう亀岡のところにはとのくんが来ている。白石の件はやられた、としながらも、もっと深刻な問題提起ができそう、と亀岡は言っている。
つづく
九条の大罪 第34審 感想
雫の第2の人生が始まり、そしてあっという間に終わろうとしているのではないかという不安を覚えた回であった。
大型新人、雫花ぴえん(しずくぴえん)は売れている
雫花ぴえん という非常にシュールな名前でのデビューである。
わたしも「ぴえん」という言葉は日常で使わないので改めて調べてみたがこちらのサイトにぴえんの始まりであったり分析がかなりしっかり書いてある。
喜び、悲しみを問わず涙するような場面、ということはうれし泣きでも、悲しみでも使えるということなのだろうか。
ちなみに一番の用途は「残念な感情」で次にくるのが「許してもらえやすそう」である。
単純な現代語を当てただけでなく、これから残念なことになっていくであろう雫に対しての含みもあるのかもしれない。
もう一つ、雫花ぴえんという名前を聞いて思うのが本名丸出しじゃん、という点である。
丸出しとまではいなくても雫を知る人であれば名前の一文字を含めており、読みもしずく、であるとするならばこのビデオの現物を見たり、とのくんのように動画を検索していたりするなかで、
例えば「しずく AV」とかの雑な検索でも容易にヒットしてしまいそうである。
AVは身バレがリスクと言っているが、身バレをしたって全く構わないと言わんばかりのネーミングで、実際に家出をしている雫にとって全く問題のない事であるはずだったが、どうも、このとのくんと亀岡の遭遇がきっかけで事態は暗転しそうな感じである。
新キャラ:ホスト寿樹弥
ホスト寿樹弥はいったい何なのだろうか。
借金を返し、お金を持った雫がホストにもはまりつつある、ということではどうも無さそうで、雫ははっきりと修斗がいれば他はいい、といっている。
純粋な雫の言葉には嘘は無さそうだと思える。
そうであれば雫が自ら寿樹弥のホストクラブに行ったわけではなさそうだ。
となると、雫の仕事以外の唯一の接点である修斗からの紹介、というか修斗の店に来ていた寿樹弥とばったり会った、というのがありそうなところである。
もっと言えばそれはバッタリなんかではなく偶然を装って修斗の伝手のある世間的に有名な人が、雫をちやほや持て囃す、というような仕込みの一環などがあったのでは、と勘繰りたくもなる。
雫の自己肯定感は満たされている。粟生への返事の充実した感じがそれを物語っている。
しかし、雫の肯定感の根源であり一番大事なものはこの時点では修斗に他ならない。
この重さというか、価値観について修斗は理解していないようにも思える。
前回夢が無いのが良いと言っていたが、ささやかながらも修斗と会ってお酒を飲みホテルに行くということは雫にとっての幸せであり居場所である。
ホスト寿樹弥や俳優という地位の高い人とのコミュニケーションで雫の自己肯定感がさらに高まるだろう、雫というのはこういうタイプの人間だ、という女性に慣れているからこその当てはめというのが修斗の計算違いとして大きく問題となってきそうである。
第35審以降の展開は?
とのくんは見ての通りろくでもない人間である。しかし、 おそらく白石桃花がそうしたように、自分の過ちを認め示談で済ませる、ということには至ら無さそうな人種である。
というか、とのくんはシンプルに金をたくさん得られればそれで周りはどうなってもいい、という極めて短絡的な考え方をしているようだ。
今回で明らかになったのはただ単に雫母娘に寄生しているだけではなく、同世代のような人間の中でも暴力・理不尽を突き通すような力も一応持っている、というような輩であるということだ。
しかしながら壬生や京極のような重厚さは全く感じられないとのくんは、おそらく人権派弁護士とつるんで騒げば金になりそうである、ということを考えている。
そうなったときに亀岡が提起する重大な問題とはなんだろうか。
「性被害に遭った女性が、望まないAV出演を強要されている」というようなストーリーを描いているのかな、とも思うが、性産業全般を悪と断定している亀岡が騒ぎ立てることは雫の居場所を正当なものではないものとすることであり、白石の件同様に雫本人の今のやりがいや楽しい気持ちは完全に無視されことが進んでいくのだろうか。
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