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九条の大罪 第53審 あらすじ ネタバレ注意
ラインでのやり取りが続く。
2h1とか、2名2時間2とか。そういう隠語のようなやり取りだ。
ラインのやり取りをしているのは千歌で、整った部屋にヴィトンのバックが置かれている。
整形外科医の山梨新一先生から電話が入り、女の子の手配を依頼される千歌。
1人10万円出すかセクシー女優を呼んでほしく、千歌にも5万円出すらしい。
人数が足らなかったら千歌が来てという山梨だが、千歌は肉体労働はしたくない、と断る。
電話をしたセクシー女優3名が、5万円で仕事を請け負ったため、中抜きの5万円×3人と、当初山梨の提示していた紹介料の5万円で10分で20万円を儲けたようだ。
こんどはももよが売掛で金欠になり、千歌に電話している。大変だが1日100万円稼げるかもしれない仕事があると千歌が言う。
数馬と千歌が久しぶりのデートだ。化粧をしてくれてうれしいという数馬だが、千歌は自分が自分んであるために化粧をしている、という。
ブレないよね、と褒める数馬に対し、千歌は東京カレンダーをなぞる人生だから、迷わない、という。
東京カレンダーに乗っているおススメをなぞる人生で、最終的には金持ちを捕まえてタワーマンションに住んで、周りとマウントを取り合う薄っぺらい人生だ、と自嘲する。
でも、大好きなのは数馬だけ、と爽やかな表情で自分のベッドで告げる千歌。
じゃあなぜ黒豚=小山と消えたんだよ、と返す数馬に対し、千歌は「小山とは食事だけ」というが、数馬は千歌が小山と関わらないでくれ、と言う。
家賃のためと、容姿のケアのためにやっているという千歌だが、数馬はそれに加えてブランド品を買っていることを指摘する。千歌はブランド品はもらいものだと答える。
千歌は顔がブスな貧乏が嫌いで、そういう人がいる店に行くと自分の価値が下がるから行きたくない、という。
数馬は自分が金持ちになったら、俺とだけいて欲しいと告げる。
それに対し、千歌は自分の欲しいものは絶対に手に入らない、数馬がお金持ちになったら今の数馬ではなくなる。という。
こんどは「こやシャンだけだよ」と言って全裸の小山の前でまたしても爽やかな表情をしている千歌。
小山はあっさり地下にタワマン住まいを許す。そして他の男をこの部屋に連れ込んだらゆるさんと、イキっている。
車屋のガレージだろうか。壬生が数馬と会って、100万円作ったことを認めている。今度は1000万を目指せと言っているが、数馬もまんざらではなさそうにこぶしをパシッと叩く。
壬生と二人になった久我が、なぜ数馬に目をかけるか問いかけると、犯罪歴のない人間に任せたい仕事がある、という。
地面には頭部をハンマーで砕かれ倒れた男がいる。
つづく。
九条の大罪 第53審 感想
千歌の黒い部分が明らかになり、それにたぶらかされる男たちが描かれた。そして壬生はやはり黒いことを考えていた。
まず千歌については再三サパークラブの同僚が清純さについて疑問視していたが、まさにその通りであった。
というか、何も負担を取りたくない、と言って売春まがいのギャラ飲みを斡旋している一方、自身もなんだかんだ身体を張っている千歌という人間が良くわからない。
もしかしたら千歌自身も最初はもっとスマートな稼ぎ方をしたかったが、体を張らなければ稼げず、現在もギャラ飲み女子として生きているのかもしれない。
しかし、他のギャラ飲み女子と違い自ら搾取する側に回って少しでも負担を減らそうとしている、というのは本音のようでもある。
その意味では金になりそうな小山との付き合いはともかく、金のない数馬との付き合いは何なのだろうか。
多分本人が東京カレンダーのような人生を選んでいるが、現在はタワマン住まいを目指す過程、というようなニュアンスでしゃべっていたことは本音かもしれない。
金銭的には満足できる小山と、ルックス的には満足できる数馬、本当は両方を兼ね備えた人が理想だが、現在は残念ながらそこに至らず金とルックスを別々の人で満たしているように見える。
今回、数馬にブスな貧乏は嫌いと言っていた千歌だが、非常に嫌らしい、賢い表現をする。
数馬はイケメンだが貧乏である。つまりブスな貧乏ではないので、千歌が好きであってもおかしくない。ただ、千歌の嫌いなポイントである「貧乏」についてはお金に困っている数馬は満たしてしまっているだろう。
数馬が突如ブスになることは考え難いが、それでも数馬は千歌に対してすべてを満たしていない、という負い目を常に感じている。だから千歌を追いかける構図が変わらない。
恐らく、小山にもブスな貧乏は嫌いとか、太った貧乏は嫌いとか、オジサンなのに貧乏は嫌い、とか言っているのではないだろうか。
そうして嫉妬心のようなものを燃え上がらせることで、さらに男たちから金や愛情を引き出す術を千歌は身に着けていそうだ。
そして、千歌が手に入れたいものはきっと求められる自分であり、叶うことならお金を稼げるようになって、ルックスの良い数馬などがそれにあたるはずだ。
だが、「お金の稼げる数馬」が「ブランド品をなんで買うのか」とか言う姿はただの説教であり正論になってしまう。お金持ちは好きだが、自由が好きな千歌は自分に対して説得力のある正論や説教を吐くような人は好きになりえないので、結局一番欲しいものにはたどり着かないのだろう。
壬生については、やはり何らかの罪を数馬に背負わせようとしている。
全話まで感想を書いていててっきり「事件の真相」編が継続しているものと思っていたが、数馬&千歌の登場から「愚者の偶像」編になっていたことをすっかり見落としていた。
搾取「する側」と「される側」があって、される側が愚者なのであれば、数馬は完全に愚者に位置する。
偶像とは、信仰の対象とするならば、今のところ壬生がその偶像になろうとしているように見えるし、数馬の信仰心はぐんぐん高まっているように見えるが、壬生はどんな罪を着せようとしているのだろうか。
第54審以降の展開は?
罪を犯していない人に、罪を被ってもらおうとしている壬生の狙いがまだよくわからない。
犯罪歴がない人の方が、ある人より罪が軽くなる、とかそういうことはあるのだろうけれども、だからと言って何が壬生の一番の狙いなのか分からない。
壬生が厄介に思っていそうな京極に対する切り札としては何だか頼りない気もするし、やっぱり出所後の犬飼に対して何らかの対策を考えているのだろうか。
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