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九条の大罪 第74審 あらすじ ネタバレ注意
引き続き九条の事務所から始まる。バッグの中に入っている足は爪がはがれ、指は切断され、悲惨だ。
壬生の居場所を聞かれる九条だが、依頼者同士のトラブルになることと、利益相反になるということで断る。さらに、それを無理強いしてくるならば、事務所を出入り禁止にするという。
落ちたペンを掴み、指の力でへし折る京極は防犯カメラを止めるよう仲間に指示する。
しかし、九条に対し丁寧に”度が過ぎた親バカ行為をお詫びいたします”と言う。
ところが、九条の前に差し出されたスマートフォンに映る写真は、68審で猛の拉致を犬飼に依頼した輩である。ちょっとここで書くことを躊躇うレベルのひどい拷問を受けた様子であり、生きているのが不思議なほどで、おそらくさっきの足もこの輩のものと思われる。
当然すべてを喋ったため犬飼が実行犯であることも京極は知っている。
そのうえで、犬飼が海外に飛ぶ前に壬生の場所を教えてくださいという京極。
怖い。
伏見組事務所では若頭補佐の雁金正美がジャージ姿の若手ヤクザ2名を詰めている。
壬生と犬飼を殺しに行かせようとしている雁金だが、若手ヤクザが躊躇しているようだ。
そこに現れる構成員、鍛冶屋小鉄。
金儲けが得意だが、いざというときに及び腰か?と若手2名を軽くなじる。
壁に掛けられた習字?の掛け軸には勇猛精進と書かれているが、おそらく親子ほど若手ヤクザと離れた鍛冶屋は裏で若手にバカにされ続けていることに耐えながら、この時を待っていたようで、”最後に一花咲かせたい”と言っている。
拳銃を持って壬生を襲撃に行くようだが、雁金からは拳銃を使うな、と言われておりあくまで威嚇目的のようである。
難を逃れた若手ヤクザ2名は嫌いだった京極猛の敵討ちとして、屈強な壬生や手下への仇を返す事を躊躇していたようで、むしろ猛の詩は嬉しいようだ。
そんな二人のところに今度は破門絶縁元ヤクザ、艮克成(うしとら かつしげ)がトラックに乗って登場する。壬生の向上に突っ込むと息巻いているが、電話先の雁金は動かんでくれ、と言っている。
スマホに映る雁金の登録名が吹き出しで隠れているがおそらく「若頭補佐雁金ホサ」と登録している。「補佐」が2回出て来て絶妙に頭が悪そうである。
止められているにもかかわらず艮は壬生の向上に突っ込む。
その様子をどこかの車の中で知る壬生。
壬生は伏見組の情報網は半端ねーとしつつ、犬飼たちはすぐ見つかり、天明會という壬生のグループごと拉致られ、犬飼は拷問の末殺され、メンバーも伏見組の準構成員になるという予見をしている。
どうせ殺されるなら京極たちをぶっ殺すか?
九条の大罪 74話 小学館より
静かに久我に壬生が告げる。
九条の大罪 第74審 感想
京極は怖い。直接的な拷問ももちろん怖いが、ペンを指で折った以外にこれまで暴力的な描写がない。
伏見組への不手際の露見を恐れ、金本を一瞬で始末してしまった壬生も恐ろしいが、そんな壬生も自身で手を下さなければならないくらい、壬生の一派、今回初めて明るみになった天明會という名前の集団は決して層が厚いわけではなさそうである。
伏見組の下々のものが描かれたが、伏見組は幾層にも階層があり、京極は大体の面倒ごとを間接的に解決できる立場にいることがよく分かった。
若頭、と言うのは組長の下に当たるようだが、伏見組は大きな暴力団なので京極はその組長の一歩手前のような立場、と言う理解をすればよいのかもしれない。
加えて壬生も警戒する情報網も持ち、総合的な組織力では伏見組や京極の手下たちは天明會を大きく上回る印象を受けた。
いっぽう、個で見ると伏見組の若手は壬生や犬飼を襲うことに躊躇しており、京極以下が本気を出せばまず犬飼などは簡単に捕まってしまうが、それを組の最下層が行うのは荷が重いようだ。
序列的には下層に位置すると思われる鍛冶屋は張り切っているが、まったく切れ味を感じない。艮はかっこいい苗字とは裏腹に完全にラリっていて、非常にポンコツなアクションをしている。
大きな組織である伏見組ゆえに、下層の人間は鉄砲玉や身代わりなどには役に立つのかもしれないが、非常に要領を得ない感じを醸し出しており、京極もそういう使いづらい駒も含めた大きな組織の一部として、きっとストレスな日々を過ごしているように思える。
京極を殺してしまおうかと言う壬生だが、直前に愛犬おもちのネックレスが描かれており、買い物にでも行こうか、と言うくらいの落ち着いた思い付きのようなトーンで殺してしまうか、と言っているが、そうではなく、いつかこういう日が何らかの形で来ることは心に決めており、それが急に来た、と言うような受け取り方をしているように見える。
そうなのであれば、自らを用意周到と言う壬生は有事に対しても無策でいるとは思えず、京極殺害のプランを具体的に持っていると思ってよいのではないか。
闇金ウシジマくんでは終盤に主人公の丑嶋が追い込まれながらも、問題があるからしょうがない、とばかりにヤクザや半グレを葬っていたが、そんなシーンが思い出される壬生のセリフだった。
当時ウシジマくんを読んでいて、ずいぶんあっさり殺しをしてしまう、と思ったが、丑嶋と壬生は似ている。動物好きで、ブラックジョークを言い、仲間に慕われ、一応堅気で、金儲けに長け、器用なところがそっくりである。
ヤクザは舐められてはいけないので必ず報復をする、と言うような行動原理があるように思えるが、ウシジマや壬生のようなどっちつかずの立ち位置の人間にとって、常に緊張感を持ちイレギュラーを想定することが生存戦略なのだろう。
だから読者である我々が見ると「えっ」と言うようなタイミングであっさりと殺人をしてしまったりするのだが、彼らにとってはそうでもしていないと今いる環境では生きていけないため、至って冷静に物事を進められるのかもしれない。
九条の大罪 第75審以降の展開は?
とりあえず壬生にしても犬飼にしても出口が見えない苦境が続く。
京極逮捕でも収まりがつかないのでは、と前回書いたが、既に犬飼はやったことがばれているため殺すしかないし、おそらく壬生についても監督責任を問われ、痛めつけられたり更なる搾取をすることあたりが京極組側としては決定事項っぽい。
ただ単純に闘争をして京極が死んだり、壬生が死んだり、という話では全く鞍馬蔵人や市田とのつながりが生まれない。
九条は輩の拷問画像を見てやや驚いた表情をしていたが、一方でそんなことが実現できる京極清志なら九条を痛めつけて心を折って白状させるわけにはいかないようだ。
たぶんそんなことをしでかしたのが万が一明るみに出た場合、組に迷惑をかけるからであり、京極は本当に猛を愛しているが、かといって自分の感情や力に任せて無関係の人間に暴力を直接間接的に振るえないとか、もう暴力をふるって勝手に捕まっていただいていただいて結構、と言うレベルの人材となるとジジイだったり薬物中毒者しかいないとか、弱みもあるように見える。
現時点では総合的に京極は壬生を上回っているが、その力を発揮できるかは別の話で、市田の記事がきっかけで、壬生に手出しができない状態が起きるのではないかと想像する。
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