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九条の大罪 第90審 あらすじ ネタバレ注意
パイプ椅子を投げ怒る京極。組長に絶縁されるはずがなく、誰かが絵を描いているはずだと叫ぶ。
山城もその怒りようにやや慌てた様子である。
京極の破門についてはこちらで進める、と雁金が言い壬生を任される宇治。
ホテルの前で唾を吐く鍛冶屋に唾を拭け、と言う宇治だが、年配への口の利き方がなっていない、それでもヤクザか、と返される。
ヤクザとか関係なく年長者として吐いた唾を見た人のことも考えろという宇治だが、鍛冶屋は去っていったので、一人で唾を拭く。
宇治は壬生にラインをし、壬生の計画通り、京極が絶縁で雁金は組長、宇治は若頭になるという。しかし、雁金はボンクラなので実験は宇治自身が握る、と伝える。
過去の描写だが、壬生と宇治が今と全く同じ服装、雰囲気なのでどのくらい前のことなのかよくわからない。
寺か神社かで憲法9条に始まる憲法全般をありがたがる日本人についてバカげていると嘆いていたり、米中の言いなりであることに不服であったりと、政治の話をしている。
舐められないように潜水艦に核弾頭を積んで自主防衛すればいいという壬生に、物騒だなあ、という男がいる。
寺の縁側に寝そべった男は靴を縁側に置いていて顔をハットで覆っている。おそらく上下白っぽいシャツにチノパンでさわやかな恰好だ。
彼は日本人が奪われたものの中で最も大事なものは信念で、日本ほど徹底的に屈服した属国は人類史上前例がないらしいという。正義を実現するには大きな力が必要で、自分たちの世代で変えないとならない、というスケールのでかい話をしている。
九条に壬生は明治以前の教えを説く塾に通っていたという。前の場面のことを指すようだ。
そこの塾生で変な奴がいて、自分の命が何よりも大事と言う価値観でいいのか、命を懸けて守るものがあるならば死ぬ覚悟が必要。
と言っていたようだ。
九条にその男に会って、顧問弁護士になってほしいという壬生。
九条の大罪 第90審 感想
至高の検事シリーズがこれで終わりになるようだ。
個人的には至高の検事的な部分より壬生と京極の抗争が一区切りした章だったように感じる。
そして、壬生のより深い仲間である宇治や、名前のわからない寺で寝ていた男と九条を会わせ、仲間にしたいというのが壬生の考えのようである。
個人的に九条が国や個人の生き方についてこうでなければならないという強いこだわりがあるようには見えず、そうならば九条が壬生の仲間にどっぷりつかる意味もないように思えるが、壬生はどうも真剣そうである。
今回人間関係的に見えてきたのが壬生と宇治は同格のようで、壬生が絵を描いているものの同じ塾に通っていたのが宇治であり、宇治は壬生をラインで「お前」と呼んでいたので特に主従関係はなさそうである。
寝っ転がっている男も壬生や宇治と同格なのか、さらにリーダー的な存在なのかはわからないが、どうも壬生は命を懸けて平和な日本を守りたいと思っているようである。
現実的な考え方をする壬生としては少しぶっ飛んだ発想でびっくりしており、そもそも寺とか神社にある塾などにいい年をした壬生が通うのか、というのが私としても大変意外であった。
ただ、恐らく壬生の今の容姿や服そうであることを考えると、恐らくおもちを殺してしまった後の出来事がこの塾での出会いであり考え方につながっていそうである。
愛犬おもちを失い、おもち亡き後の人生について考え直すきっかけとしてこの塾があり、そこで出会った価値観や、面白い仲間たちが今の壬生の本当の仲間なのかもしれない。
京極をはじめとした多くの人間を壬生を保身のために生きる人間と捉えている。これはおもちを失う以前の壬生の生き方から生まれたことなのかもしれない。
おもちを失う以前の壬生についてはあまり書かれていないが、京極に捕まってしまうくらいには今よりは軽率だが、賭場を荒らすくらいには乱暴で賢かったようだ。
なんとなくであるが、このころの壬生には信念のようなものはなかったのではないのだろうか。例えばおもちがいて、仲間がいて、お金があって、それで幸せであり充実を感じる人間性であり、それは固辞の信念ではなく、「金だけ、今だけ、自分だけ」と言う寺の縁側で寝そべる男の指摘通りの生き方だったのではないか。
自主性を失った日本について、情けない、というスタンスを取る立場であった壬生だが、寝そべる男との出会いで、戦争に負けた日本同様、京極に捕らえられた自分にとっても人生の主導権を取り戻すためには信念が必要であると悟ったのではないだろうか。
(追記)後で気が付いたが、この憲法9条への批判は、「九条の大罪」と言うタイトルがかかっているのではないだろうか。
憲法改正には国会議員が必要で、どう考えても壬生や宇治はその立場にはなれない。そうなると裏では壬生や宇治が支えつつも、表の仕事は寝そべっている男が国会議員となり、その顧問弁護士として九条がいて、チームで憲法を変える挑戦をする、という話に移行していくのかもしれない。
九条の大罪 第91審以降の展開は?
新章突入とあるので、場面が大きく変わりそうである。
京極のその後については大して描かれない可能性を感じるし、宇治については登場二話目にして圧倒的な安定感、安心感すら感じる。ヤクザがらみの話は当面ないのではと思うし、ここまで準主人公感のあった壬生もいったんフェードアウト気味になってもおかしくない。
これまでかなりの割合で暴力や死や性に関する話が多かったのでちょっとのんびりした話なども見てみたいなあと思っている。
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